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超高層気球と深海艇の浮力

物体が排除した気体や液体の体積の分だけ浮力が得られることは、よく知られている。しかし、空と海の極限状況において「浮力」が科学的な観測手段と深く関わっていることはあまり知られていない。

気球はどこまで上昇できるだろうか?一定の厚みのフィルムで気球を作ったとすると、自重は表面積に比例するので半径の二乗で増える。一方、浮力は体積、つまり半径の三乗で増えるので、大きくなるほど到達高度は高くなる。計算上は限界がないように思えるが、フィルムには一定の強度が必要で、また大気密度が高層で急激に低下するため、現実には限界がある。高高度の気球は、気象の観測だけでなく、地上では観測できない赤外線天文学やX線天文学で重要な観測手段である。

1972年に米国で体積135万立法メートル(直径138m)という巨大気球で 高度51.8 kmが達成された。そのまま大きくすれば更に上昇できるが、もっと賢い方法はないだろうか? 気球のフィルムを薄くできれば自重が減るので小型でも高く登れるだろう。そこで宇宙機構(JAXA)は3.4ミクロン厚の極薄ポリエチレンで、6.5万立方メートル(直径50m)という、米国よりは小型の気球を作り、高度53 kmの新記録を樹立した(2002年5月)。薄くて触るのが怖いような巨大な気球である。

高度51kmの地点では大気密度は地上の約0.07 % になるため、この気球の浮力は 60 kgに過ぎない。それでも、気球の重量はフィルムが 24 kg, ヘリウム気体が 8 kg, 計32 kgなので、更に上昇できることが分かる。

次に、下方向の深海での浮力を考えよう。日本の深海調査船「しんかい6500 」は26トンの重量で水圧が最大650気圧かかる。浮上のための浮力をいかに得たらよいのか。発砲スチロールは論外として、浮力材が潰れては海面に帰還できない。そこで中空のガラス玉(バルーン)を使うとのこと。「割れ物」の代名詞であるガラスを過酷な環境で使うとは、驚きである。その秘密は、球の直径をミクロン単位にまで小さくして、強度を上げる点にある。直径約100μmと約40μmの2種の玉を使用し、小玉を大玉の隙間に入れてエポキシで固めると、互いに支え合って比重が小さいままで、さらに強度が高まるとのことである。(三浦)

 

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