名古屋大学 高等教育研究センター



2011年度名古屋大学学生論文コンテスト

学問のススメ、論文へススメ。

学生生活にスパイスは足りていますか?
授業に出る、レポートを書く、試験勉強をする、
サークルに入る、友達と遊ぶ、本を読む、アルバイトをする・・・
まだまだもの足りない人へ
学問の香りのスパイスを贈ります
読書の秋も深まったら、冬仕度
――さあ、論文へススメ!


■2011年度審査結果

2012年2月29日(水)、高等教育研究センターにて2011年度名古屋大学学生論文コンテストの表彰式を開催しました。応募のあった21本の論文を、山本一良理事、松浦好治附属図書館長、戸田山和久教養教育副院長、木俣元一高等教育研究センター長により厳正に審査した結果、次の4作品が優秀賞に選ばれました。受賞した論文は本学の研究成果物として名古屋大学学術機関リポジトリに登録されます。

▼ 優秀賞(附属図書館長賞)

「なぜ日本人は世界一素晴らしい医療に世界一不満を持つのか?」
医学部1年 田中健一さん

▼ 優秀賞

「障害者に対する職場内ハラスメントと今後の対策」
法学部1年 朴鎮洙さん

▼ 優秀賞

「暴力の時代における情念の浄化装置としての絵画」
医学部4年 山田悠至さん

▼ 優秀賞

「J-POPから見る若者の心象風景〜『逢いたいソング』についての考察」
教育学部1年 高井崇佑さん

▼ 事務局から

2011年度は21名の応募があり、そのなかから上記の4名に優秀賞が贈られました。審査委員からは、例年に比べて力作が多く、なかなか甲乙つけがたいという総評がありました。

田中健一さんの論文は主張が明確であり、表題のつけ方も読者の関心をひきつける点で優れていました。日本の医療に対する国民の満足度が低い理由を3点挙げ、これらを改善するために何をするべきかを論じています。一方で、対策の限界についても指摘しています。全体として議論の進め方が慎重で、バランスのとれたものになっています。なぜこの3点を導出したのかについての理由を提示できればさらに優れた論文となりうるでしょう。

朴鎮洙さんの論文は、職場内の共同体意識を高めることによって、ハラスメントの克服や改善を訴える内容となっています。論文としての形式、参考文献などがきちんと用意されており、資料を読み込んで理解を深めていることは高く評価できます。どのようにしたら共同体意識を育むことができるかをさまざまな角度から論じることができれば、より魅力的な論文になるでしょう。

山田悠至さんの論文は、画家松井冬子の作品を素材として、一種の情念論を展開しています。文献リストが非常に充実しており、著者が熱心に思索していることがうかがえます。美術評論というジャンルに意欲的にチャレンジしたことも異色であり、一定の評価ができます。ただし、松井冬子自身の解説と筆者の意見が混在しているので、読者には判別しづらく、この点の改善が望まれます。議論をもう少しわかりやすい表現に言い換えて読者に伝える工夫をすれば、さらによくなるでしょう。

高井崇佑さんの論文は、日本にしかファンのいないJ-POPという音楽ジャンルについて、頻繁に使われる「逢いたい」という言葉の分析を通して、若者の恋愛心理に迫っています。本論文の優れているところは、ポップカルチャー論の素材としてJ-POPの歌詞に注目したユニークさにあります。ただし、サンプリングの根拠が不明なので、提示した問題に断片的な回答しか得られていないという不十分さが残りました。サンプリング上の工夫や、外国のポップスとの比較の視点などを取り入れれば、さらに充実した論文になるでしょう。

本コンテストでは、昨年度から論文の内容領域と分量を問わない募集形式としました。その影響かどうかわかりませんが、さまざまなテーマについてユニークな問いや仮説を立てて、その論証に果敢にチャレンジする論文が増えたことは喜ばしいことです。また、先行研究をていねいに読み込んだ論文が多かったことも評価できます。論文の出来は、自分が立てた問いをどのようにして論証し、読み手をいかに合理的に説得するかによります。こうした観点から、学部生のみなさんがクリティカル・シンキングやロジカル・シンキングのスキルを高めることを期待します。

今後も高等教育研究センター・教養教育院・附属図書館では、みなさんの学術論文執筆を支援するセミナー等を提供しつつ、本コンテストを継続していきたいと考えています。次回もみなさんの力作に出会えるのを楽しみにしています。


2011年度の募集は締切りました。ご応募ありがとうございました。

■ 応募要項

▼論文内容

応募論文においてとりあげるテーマ/問いを明確に記述したうえで、文献等を活用して論じてください。内容領域は問いませんが、当該領域を専門としない人にも理解できるよう記述してください。
(論文題目例を本ページ下部に掲載しています。)

▼応募期間

2012年1月13日(金)13時まで

▼応募資格

名古屋大学に在学する学部学生

▼応募規定

  • 応募論文は、単著、未発表かつ日本語で書いたものに限ります
  • 審査対象論文は1人1編のみとします
  • ホームページ(http://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/ronbun/)に掲載されている書式に従い、論文と応募用紙それぞれについて電子ファイル(PDFまたはWord)を作成し、メール送信してください

▼ 応募方法

  1. 論文本編と応募用紙の書式電子ファイル(PDFまたはWord)を当ページからダウンロードしてください。
  2. 書式に従って論文と応募用紙を作成してください。
  3. 論文本編と応募用紙、計2点の電子ファイル(PDFまたはWORD)を下記メールアドレスに期日内に送信して下さい。

▼審査

本学教員による

▼表彰

3名以内に、賞状及び副賞

▼結果発表

  • 2012年2月中旬を予定
  • 発表に際し、入賞者の所属学科および氏名を公表いたします
  • 入賞作品は名古屋大学学術機関リポジトリに掲載いたします

▼その他

  • 論文の書き方に関する各種文献を高等教育研究センター(東山キャンパス文系総合館5階)にて閲覧できます
  • [参考]論文題目の例
    • 「ファッション誌における「モテ」の研究」
    • 「携帯読書端末は若者の読書量を増やせるか」
    • 「薔薇の名前と薔薇の香り―文学における記号と経験―」
    • 「惑星探査の歴史」
    • 「フェアトレードは私たちの生活をどう変えるか」
    • 「自然エネルギーの利用方法と現状」
    • 「理科離れはどのように測定されているのか」
    • 「なぜ日本の首相は長続きしないのか」
  • 過去の入賞論文は名古屋大学学術機関リポジトリに掲載されています
  • 過去の受賞論文タイトル・テーマについては、以下のリンクから確認できます

■ 主催

名古屋大学 高等教育研究センター、教養教育院

■ 共催

名古屋大学 附属図書館

■ 協賛

コクヨマーケティング株式会社

名古屋大学消費生活協同組合

■ お問い合わせ先

名古屋大学高等教育研究センター 2011年度名古屋大学学生論文コンテスト担当

Tel:
052-789-5696
E-mail:
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
URL:
http://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/ronbun/


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