名古屋大学 高等教育研究センター



2018年度名古屋大学学生論文コンテスト

学問のススメ、論文へススメ。

学生生活にスパイスは足りていますか?
授業に出る、レポートを書く、試験勉強をする、
サークルに入る、友達と遊ぶ、本を読む、アルバイトをする・・・
まだまだもの足りない人へ
学問の香りのスパイスを贈ります
――さあ、論文へススメ!


■ 2018年度審査結果

2018年度名古屋大学学生論文コンテストの審査会を、2019年2月5日(火)に開催しました。松下裕秀理事・副総長、戸田山和久教養教育院長、森仁志附属図書館長、齋藤文俊高等教育研究センター長による厳正な審査の結果、次の論文が選出されました。

受賞論文は、本学の研究成果物として名古屋大学学術機関リポジトリに登録されます。

▼ 優秀賞

「大矢田ひんここ」と喪山信仰
文学部 山中 海瑠さん

▼ 佳作

学校教育は若者の投票率向上に貢献しうるか
法学部 各務 耀さん

▼ 佳作

デザイン系専門学校生の進路選択過程における他者との関わり
文学部 西山 祐平さん

▼ 受賞コメント

【山中海瑠さん】優秀賞

この度は、このような賞を頂き、光栄に思います。

本論文は、岐阜県美濃市大矢田で斎行される「ひんここ」という神事芸能に注目した一年間のフィールドワークをもとに、古文書や関連する古典文学の記述を踏まえ、「ひんここ」を巡った大矢田地区の信仰の在り方を考察したものです。

一年間の研究成果をこのような形で認めて頂くことができ、大変嬉しく思います。また、本論文の執筆にあたって、大矢田神社禰宜・眞清様をはじめ、大矢田地区の皆様に多大なご協力を賜りましたことを、この場をお借りしてお礼申し上げます。

本論文では、大矢田における信仰の在り方について「喪山信仰」にフォーカスした考察を行うに留まっていますが、大矢田にはこの他にも「修験道」や「牛頭天王信仰」など、様々な信仰が息づいています。今後は、卒論を念頭により多角的な考察に努めていきたいと思います。この度はありがとうございました。


【各務耀さん】佳作

このたびはこのような賞をいただき、ありがとうございます。最初にこの論文コンテ ストのポスターを見たときは自分とは無縁のものだと思っていましたが、基礎セミナー の授業で論文を書くことになり、せっかくだから上を目指そうと努力した結果この賞を いただくことができ、大変嬉しく思います。

執筆の過程は決して楽なものではありませんでした。授業の合間や授業が終わってか ら図書館にこもって文献を読みあさり、明け方まで資料のまとめをすることもありまし た。また起きている間はいつも論文のテーマのことばかり考えていて、テーマが決まっ てからも調査方法や内容の検討をするなど、この一年間私の頭の片隅には常に論文のこ とが浮かんでいました。

大学に入学したばかりの 4 月、右も左も分からない状態から始め、基礎セミナーの先 生や TA、他の受講生からアドバイスをいただきながら何とか自分なりに満足のできる 論文を書くことができました。苦労は多かったものの、物事を論理的に考えたり表現し たりする力など、その苦労に勝る多くの経験を得ることができました。この経験は今後 の学生生活に役立てていきたいと思います。


【西山祐平さん】佳作

高校3年生の時、地元の新聞社が主催する短編小説のコンクールで入賞したことがあって、それが自分を苦しめたことをよく覚えている。入賞した小説を読み返すたびに、小説家養成の専門学校に進学してもっと技術を磨けば、憧れの文筆業で生活していけるのではないかと妄想を膨らませていた。しかし、文筆業で成功できる人間はほんの一握りだと自覚していた私は、一瞬の淡い希望を押し殺して、大学受験勉強に励むことにした。そして現在、私は名古屋大学の文学部で日本近現代文学の研究をしている。

このように、自分の興味・関心にうまく折り合いをつけてきたつもりだが、どこか晴れない気持ちが残るのも事実であった。近年、なることが極めて困難な漫画家や声優、ミュージシャンなどの養成を目指す「文化・教養」分野の専門学校は、一定の人気を保っている。私が当然のように選択肢から排除した、そうした専門学校に進学を決意する人たちは、どのような進路選択を経験しているのであろうか。やや乾燥気味な大学生活を送る私は、専門学校で開催される学園祭のカラフルなポスターを前に首を傾げていた。

そういう経緯があって、今回執筆した論文は、私の人生に対する暫定的な答え合わせだと考えている。先行研究では、就職率が低い「文化・教養」分野の専門学校は、ちょうど看過されている領域であった。そのうちデザイン系専門学校生4名にインタビュー調査を実施し、彼らの高校在学時における進路選択過程の解明を試みた。たくさんの人に読んでいただき、フィードバックをいただけるとこの上なく嬉しい。


▼ 事務局から

本年度の応募総数は10本と、昨年に引き続き多くはありませんでしたが、テーマも、手法も、多岐にわたるものが寄せられました。

先行文献をふまえて問いの焦点を絞り、それにふさわしい手法を選んでいることを前提条件として、新たな知見を提示できていたものが高い評価を受けました。

優秀賞を受賞した山中さんの論文は、「大矢田ひんここ」という民俗行事の由来について、これまでの言説を覆す知見を得たものでした。1年間にわたるフィールドワークと文献調査があってこその成果であり、地道な努力と、それをまとめ上げた筆の力が際立ちました。 佳作を受賞した西山さんの論文と各務さんの論文は、いずれも、先行文献調査をふまえて調査すべきことがらを絞り込めていたこと、聞き取りから新たな知見を見出だしたことが評価されました。西山さんが学外に4名ものインタビュー対象者を求め、各務さんが身近な話題を学問上の問いへと巧みに転換させたという、それぞれの努力が基礎となっていることを指摘しておきたいと思います。

表彰式では、受賞者3名から、応募のきっかけや論文提出までの日々の様子について、お話を伺うことができました。審査にあたった先生方も、事務局も、このコンテストの意義を再確認させていただく機会となりました。

皆さんの努力が今後の糧になることを期待して、次年度も学生論文コンテストを開催します。どうぞ奮ってご応募ください。附属図書館のライティング関連図書コーナー(2階)や各種学習ガイドもご活用いただけます。


2018年度の募集は締切りました。ご応募ありがとうございました。

■ 応募要項

▼論文内容

応募論文においてとりあげるテーマ/問いを明確に記述したうえで、文献等を活用して論じてください。内容領域は問いませんが、当該領域を専門としない人にも理解できるよう記述してください。

▼応募期間

2019年1月16日(水)12時まで

▼応募資格

名古屋大学に在学する学部1・2年生

▼応募規定

  • 応募論文は、単著、未発表かつ日本語で書いたものに限ります
  • 審査対象論文は1人1編のみとします
  • 次項「応募方法」に掲載されている書式に従って、論文と応募用紙それぞれの電子ファイル(PDFまたはWord)を作成・提出してください

▼ 応募方法

  1. 論文本編と応募用紙の書式電子ファイル(PDFまたはWord)を当ページからダウンロードしてください
  2. 書式に従って論文と応募用紙を作成してください
  3. 論文本編と応募用紙の電子ファイル(PDFまたはWord)を、件名「2018論文コンテスト応募(応募者名)」で、下記メールアドレスへ期日内に送信して下さい

▼審査

本学教員による

▼表彰

数名に賞状及び副賞

▼結果発表

  • 2019年2月を予定
  • 発表に際し、入賞者の所属学科および氏名を公表いたします
  • 入賞作品は名古屋大学学術機関リポジトリに掲載いたします

▼その他

  • 論文作成のポイントしては次の資料(PDF)を参考にしてください。
  • より詳細な論文の書き方に関する各種文献は、中央図書館2階ラーニングコモンズおよび高等教育研究センター(東山キャンパス文系総合館5階)にて閲覧することができます
  • 中央図書館2階サポートデスクでは、大学院生スタッフからレポートの書き方の相談を受けられます
  • 過去の入賞論文は名古屋大学学術機関リポジトリに掲載されています
  • 過去の受賞論文タイトル・テーマについては、以下のリンクから確認できます

■ 主催

名古屋大学 高等教育研究センター、教養教育院

■ 共催

名古屋大学 附属図書館

■ 協賛

コクヨマーケティング株式会社

名古屋大学消費生活協同組合

■ お問い合わせ先

名古屋大学高等教育研究センター 2018年度名古屋大学学生論文コンテスト事務局

Tel:
052-789-5696
E-mail:
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
URL:
http://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/ronbun/


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