名古屋大学 高等教育研究センター

第65回招聘セミナー 大学における教室英語:英語でも効果的な授業をつくる 和栗 百恵 氏 早稲田大学 平山郁夫記念ボランティアセンター 客員講師 8月30日(木) 16時30分〜18時00分 名古屋大学 文系総合館5階 高等教育研究センター 会議室

■ 講演要旨

 大学において、英語を母語としない日本人教員が「英語で」授業をする必要が増えてきている。それについて、漠とした不安を抱える教員も少なくない。そういった不安を整理しつつ、教室英語や授業の工夫の具体例の紹介を通して、英語でも効果的な授業をつくるための方法を考える。

 まずWorld Englishes (WE)、そして英語を母語とする話者、非母語とする話者の統計を参照する。「完全な英語」を話すのではなく、「コミュニケーションツールとしての英語」を使うことへの認識が、英語で授業をすることへの心理的ハードルを下げる一助となり得る。

 英語で授業することについて様々な不安があるものの、学生たちがよりよく学習する、という授業の目的は、英語であろうと日本語であろうと同じである。ならば、それを「英語で」どのように仕込めるかを模索すればよい。

 仕込みの具体策を講じる際に、不安なのは教員だけではなく、学生たちも同じということをまず認識し、「英語でも」参加しやすい工夫することが重要である。例えば教室(学習環境)のセッティング、immediacy behaviors (「近しさ」を表す行動)のあり方、「いきなりの発言」や「全員の前で発言」の不安軽減のための仕掛けや小道具を用いることである。

 「英語でどう言うか」という不安に対しては、米国の諸大学が作成しているInternational Teaching Assistantのためのハンドブック(例えばカリフォルニア大学サンタバーバラ校)のフレーズ集が役立つ。

 一方、教員のためのフレーズ集があるのなら、学生たちのためのフレーズ集を作成することも効果的な授業をつくることにつながる。「わからない」と表明するためのフレーズや、意見を述べるためのフレーズを、見えやすい模造紙などにまとめ、授業ごとに前に貼り出すのも一案である。

 教員がレクチャーすることは、「英語で」に関して多くの教員の不安要素になっているものである。レクチャー用フレーズを頭に入れておくこと、レクチャー中の非言語コミュニケーションや発声の仕方がポイントとなる。

 最後に、英語を母語とする、もしくは英語が達者な学生を対象とした英語での授業では、よりいっそう可視化・明文化を徹底することで不安軽減につながる。学生が主導するディスカッションのための仕掛けや、「しゃべりすぎる学生」向け対処案を用意するのも有益である。

■ 開催案内

第65回招聘セミナー

大学における教室英語:英語でも効果的な授業をつくる

和栗 百恵 氏
早稲田大学 平山郁夫記念ボランティアセンター 客員講師
日時: 8月30日(木) 16時30分〜18時00分
場所: 名古屋大学 文系総合館5階 高等教育研究センター 会議室

講演概要

 日本の大学にて英語で授業をするにあたっては、二つの大きな継続的チャレンジが想定される。まずは教員自らが英語を効果的に使い教えること。そして二つ目は、学生たちが英語を使いながら効果的に学ぶこと。本セッションでは、授業の雰囲気作りや教員用教室英語、英語を補完する視覚教材・資料の用い方、学生の英語発話を促すためのヒント等、「英語でも」学習効果が高い授業を実現するための方法を紹介し、実践に際しての工夫や課題を参加者と共に考える。

お問い合わせ: 中井 <seminar@cshe.nagoya-u.ac.jp> (tel:052-789-5385)

※セミナーに出席を希望される方は、セミナー当日までにseminar@cshe.nagoya-u.ac.jp宛へご連絡下さい。(準備等の都合のためであり、必須ではありません。)セミナーは研究者、教育関係者、教育機関の事務担当者、学生(大学院生・研究生・学部生)、社会人など多くの方の参加を歓迎しております。また、セミナー開催情報メールサービスも是非ご利用下さい。

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