名古屋大学 高等教育研究センター

第39回客員教授セミナー ドイツの大学院教育の現状と高等教育センターの新たな役割 マリアンヌ・メルクト氏 ハンブルク大学 10月4日(木) 午後4時〜6時 名古屋大学 文系総合館 7階オープンホール

■ 講演要旨

 現在のヨーロッパでは、1999年から始まったボローニャ・プロセスによって、域内の学生移動の拡大、国ごとでバラバラになっていた学位システムの標準化が図られている。もともとドイツの大学は教授と学生の擬似的な親子関係に基づく「徒弟制モデル」の伝統が強く、学問の自治やアカデミック・フリーダムを誇りとしてきた。ところが1970年代から起きた高等教育の大衆化によって、国立大学は財政難に苦しみ、特に自前の財源を確保しにくい人文科学分野の財政状況は逼迫している。学生の平均在学年数は延び、教員は十分な研究指導ができなくなっている。また、研究職以外を志す学生に対するオリエンテーションの必要性が大きくなっている。総じて言えば、「徒弟制」モデルはプロジェクトチームによって複数の教員の指導を受ける「ネットワークモデル」に移行しつつある。

 こうした状況を受けて、EUレベルではEURODOC(ヨーロッパにおける博士学位候補者および若手研究者のための協会)が、ドイツ国内では主要大学の高等教育センターが大学院生や若手研究者のための支援を行っている。具体的には、人文・社会科学分野の大学院生に対する支援、在学年限の短縮、研究方法論に関するワークショップ、学生による自主的な研究グループの形成、研究指導などに関する公開セミナーの開催などを行っている。

■ 開催案内

第39回客員教授セミナー

ドイツの大学院教育の現状と高等教育センターの新たな役割

マリアンヌ・メルクト氏(ハンブルク大学)
日時: 10月4日(木) 午後4時〜6時
場所: 名古屋大学 文系総合館7階オープンホール

講演概要

 ドイツの大学制度は大きな変革の波にさらされている。その理由はまず、1999年から始まったボローニャ・プロセスによって、ヨーロッパ高等教育圏の確立が目指され、知識圏および経済圏の再編成がすすめられているからである。加えて、1970年代にドイツの大学がマス化されて以来、今まさに改革へのプロセスが進められているからである。

 これら二つのプロセスは大学院改革にも影響を及ぼしている。議論に際して二つのモデルに分けてみたい。ひとつは教授と学生との個別的指導に基づく徒弟制モデルであり、もう一つは多くの人間との学際的な研究を志向するネットワーク・モデルである。

 こうしたモデルの問題点と利点については大学院教育に関わる諸センターの新たな役割を紹介するなかで検討する。なかでも“best practice”の事例については、ドルトムント大学高等教育センターのプロジェクトを取り上げる予定である。


"The situation of Post-Graduate formation in Germany and new tasks for Higher Education Centers in it"

Dr. Marianne Merkt

The german university system actually experiences a high impact for changement. Firstly the Bologna-Process started by the european ministers of education in 1999 aims on fostering a european knowledge and economic area by setting up a standardization process for a europeanwide academic system. Secondly reform processes are overdue since the german Mass Universities have been introduced in the 1970s.

Both processes have influences on descourses regarding the reform of Post- Graduate formation. Two models can be distinguished in discussions, the research apprenticeship as model based on an individual relationship between professor and student and a network as model supporting the idea of interdisciplinary research work with many persons.

Problems and advantages of both models will be discussed in order to dinstiguish new tasks that arise for Higher Education Centers in Post-Graduate formation. As one "best practice" example Post-Graduate project of the Center for Higher Education of Dortmund University will be presented.

言語:英語(通訳はありません)

お問い合わせ: 夏目 <natsume@cshe.nagoya-u.ac.jp> (tel:052-789-5693)

※セミナーに出席を希望される方は、セミナー当日までにseminar@cshe.nagoya-u.ac.jp宛へご連絡下さい。(準備等の都合のためであり、必須ではありません。)セミナーは研究者、教育関係者、教育機関の事務担当者、学生(大学院生・研究生・学部生)、社会人など多くの方の参加を歓迎しております。また、セミナー開催情報メールサービスも是非ご利用下さい。


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