名古屋大学 高等教育研究センター

第40回客員教授セミナー 大学の戦略的マネジメント・・・何が必要か? 本間 政雄 氏 立命館大学 副総長 12月20日(木) 午後3時〜5時 名古屋大学 国際開発研究科棟 多目的オーディトリアム

■ 講演要旨

 18歳人口の急減による市場の縮小や補助金削減など、大学を取り巻く環境が厳しさを増す中で、選択と集中を柱とした戦略的大学経営の必要性が高まっている。また、グローバル化する世界経済で通用する人材の育成やバイオや新材料など産業の駆動力となるような最先端の研究に対する大学への期待も高まる一方である。

 一方、長い間政府による保護と規制の下にあり、経営の中核に教員が座る大学には、依然として危機感が乏しく、経営陣にも大学を効率的・効果的に動かす知識やスキル、経験も不十分である。また、教員団は、部局自治を盾に改革に抵抗し、大学の経営陣を支える事務組織・事務職員の企画・立案、調査・分析力は概して乏しい。

 このような状況を変え、社会の期待の応える教育、研究、社会貢献という大学の役割を果たしていくためには、学長を始めとする大学経営陣の改革への指導力とイニシアティブが求められる。改革を進める上で、教育・研究の担い手である教員とのコミュニケーションは必要であるが、教員が反対するからといって、例えば教員評価の導入、教育プログラム(カリキュラム)の定期的な見直し・改善を躊躇するようなことがあってはならない。また、職員が消極的だからといって、事務や事務組織の抜本的な見直しをためらうようでは、効率的・効果的な事務執行は期待できない。

 改革に向けて指導力を発揮できない、発揮する意思のない学長や副学長、学部長、部課長などは直ちに辞表を書くべきであり、改革に向けての明確なビジョンと実行力をもつリーダーに席を譲るべきである。学長は、直ちに直属組織として「教育力強化センター」と「大学経営企画室」、「事務構造改革推進室」を設置し、これらを中心に教員評価の企画と実施、評価結果の低い教員対象の研修プログラムの開発と実施、カリキュラム改革の推進、部局ごとの教学、財務などに関する指標の収集・分析、そして人事制度改革と連動した事務組織改革を断行すべきである。

 保守的な教員や事務職員を相手にした、例えば学生による授業評価は意味があるかないかといった際限のない「哲学論争」から脱却し、事実とデータをベースにした議論へと転換し、それを高い調査分析力、政策立案能力、実行力に長けた事務職員が支えていくのが理想的であり、実際にその方向に向けた努力を積み重ねている大学も少数ながら存在するのである。

■ 開催案内

第40回客員教授セミナー

大学の戦略的マネジメント・・・何が必要か?

本間 政雄 氏 (立命館大学 副総長)
日時: 12月20日(木) 午後3時〜5時
場所: 名古屋大学 国際開発研究科棟 多目的オーディトリアム

講演概要

 大学を取り巻く環境が厳しさを増す中で、財務、人事、教育研究の各分野における戦略的マネジメントを導入・実現することが各大学に求められている。しかし、それを実現するためには、数多くの課題をクリアする必要があり、実現は容易ではない。本セミナーでは、戦略的マネジメントとはなにか、それを実現するために大学にとって何が必要なのか、について考える。

お問い合わせ: 夏目 <natsume@cshe.nagoya-u.ac.jp> (tel:052-789-5693)

※セミナーに出席を希望される方は、セミナー当日までにseminar@cshe.nagoya-u.ac.jp宛へご連絡下さい。(準備等の都合のためであり、必須ではありません。)セミナーは研究者、教育関係者、教育機関の事務担当者、学生(大学院生・研究生・学部生)、社会人など多くの方の参加を歓迎しております。また、セミナー開催情報メールサービスも是非ご利用下さい。

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