名古屋大学 高等教育研究センター

第82回招聘セミナー なぜ地域の大学間の連携が必要なのか
―1人の難聴学生との出会いから―
青野 透 氏 金沢大学大学教育開発・支援センター長 2009年7月22日(水)16:00〜18:00 東山キャンパス 文系総合館 7階 オープンホール

■ 講演要旨

障害学生への学習支援の必要性が高まりつつある。本人の申出により大学等が何らかの支援を行っている学生(支援障害学生)の在籍する大学等は、「支援障害学生在籍校」と呼ばれる。日本学生支援機構が2005年から実施している「障害学生の修学支援に関する実態調査」によれば、その校数は2005年395校、2006年468校、2007年519校と増加傾向にある。ノートテイク・手話通訳・音訳などの「授業情報保障」を実施している大学は、支援障害学生在籍校の93.4%にあたる485校である(2007年度)。授業情報保障は、支援障害学生がいる大学等では必須の制度となっている。

「授業情報保障」の担い手の1つであるノートテイカーは、聴覚障害学生一人に対して20〜30名程度の支援者が必要となる。これだけの支援者を集めるには、大学が組織として対応することと同時に、地域の力を借りることが必要である。関東学生情報保障者派遣委員会では地域のボランティアをノートテイカーとして派遣している。また、筑波技術大学に事務局を置く「日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク」では、大学間の連携により、ノートテイカー養成ノウハウの共有化を図っている。さらに、独立行政法人日本学生支援機構では、「障害学生修学支援事例集」をまとめるなど、広く障害学生支援一般について、大学、短大および高等専門学校における種々の場面での支援事例に関する知見を提供している。

授業情報保障はFDとの関連でも重要である。私立大学情報教育協会が2008年にまとめた「平成19年度私立大学教員の授業改善白書」によれば、79.1%の大学教員が「学習意欲を高めるような授業設計・運営を工夫したい」と回答し、60.0%の大学教員が「授業中に学生の反応を捉え、理解度に応じた授業をしたい」と回答している。重要なのは、「授業内容がいかに学問的に優れたものであっても、受講生に伝わらなければ何の意味もない」ということである。すべての学生に授業内容を伝えるためには、受講生の理解しやすい授業を行うと同時に、支援障害学生に必要な支援を行うことが必要である。そのことを1人1人の教員が理解しなければならない。障害学生への学習支援は、授業内容の受け取り方は学生によって多様であることの理解を教員に対して促し、ひいては教員の教育能力改善につながる。授業情報保障のための研修と研究は、大学間連携の優れた対象となる。

■ 開催案内

第82回招聘セミナー

講演題目
なぜ地域の大学間の連携が必要なのか
―1人の難聴学生との出会いから―
講演者
青野 透 氏(金沢大学大学教育開発・支援センター長)
日時
2009年7月22日(水)16:00〜18:00
場所
東山キャンパス 文系総合館 7階 オープンホール

講演概要

私に、授業内容がどんなに良くても、受講生に伝わらなければ何の意味もない、という教育の基本理念を教えてくれたのが、難聴学生との出会いでした。 やがて私は、きちんとした授業情報保障をしようとすれば、地域のノートテイカーがどうしても必要だということ、 さらに、多くの高等教育機関は近くの大学等のノートテイカーの助けを必要としているのだということも、学ぶことになりました。 そして、今、日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワークのような組織の必要性を痛感しています。 そんな一教員からの報告です。

お問合せ先
安田 淳一郎
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-5696
ご参加いただける方は、事前に上記メールアドレスまでご一報いただけると助かります。会場準備の都合によるものですので、必須ではありません。
案内用ポスターPDFPDF

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