名古屋大学 高等教育研究センター

第90回招聘セミナー イギリスにおける大学教員の職能開発と
新潟大学での取り組み
加藤 かおり 氏 新潟大学 大学教育機能開発センター准教授 2010年10月21日(木)16:00〜18:00 東山キャンパス 文系総合館7階オープンホール

■ 講演要旨

Ⅰ.イギリスにおける大学教員の職能開発

イギリスは、日本ではファカルティ・ディベロプメントとして取り組まれている教員の教育能力の向上を含む大学教員としての業務に必要な能力向上の取り組みについて、継続的な専門職能開発(professional development)として取り組んでいる。その職能の領域には、大別して教育、研究、管理運営(マネジメント)の3つの領域がある。各大学は、概ね人事部の1部局である専門職能開発の部門が中心となってキャリア計画の支援をしたり、様々なセミナーの実施やコンサルティングなどを行っている。教育領域については、1990年代後半から、教育開発について集中的な政策面の支援を受けて設置された教育開発センターを中心に推進している機関もある。

イギリスの取り組みの特徴は、①それぞれの職能内容について指標となる全英の職能基準の枠組みや要件、コードの明確化に努めていること、②その指標にもとづく職能開発プログラムの認定や、各機関とのネットワークの中心的な役割を果たす全英レベルでの開発支援機関や団体があり、①の枠組みや要件の保持役(keeper)や、牽引役となっていること、③これらの開発が、人材や組織の開発という国や機関等管理者側の観点と同時に、大学教員というプロフェッショナルのキャリア開発の観点の側面をもっており、教員組合などの団体が後者の側面を支持していること、などにある。加えて、イギリスでは1986年の教員評価制度の導入に際して、この評価は職能開発の課題を明確にするための手段として位置づけた全国協定が結ばれ、以後、「開発のための評価」が各機関に浸透しているなど、開発が教員側の主体性と結びつく基盤があることも特色の1つである。

Ⅱ.新潟大学での取り組み

新潟大学は、平成18年ごろから全学や各部局等の多様なレベルや内容で行われているFDの全体像と、それぞれの取り組みの位置づけを明確にしてきた。そのコアプログラムとしての教育職能の開発について、大学教育機能開発センターを中心に、平成20年に作成された「新潟大学における基本的教育力の基準枠組み」にもとづく教育職能開発の活動を行っている。この枠組みは、学内教員からの「教育力の向上の目標がわからない」という声を受けて、全学から指標に関連する情報を収集しセンターが調整役となって集約し作成された。内容については、イギリスから招聘した専門家のアドバイスも受け、グローバルな教員のプロフェッショナル化にも対応可能な内容であることを確認した。現在、センターはこの枠組みに基づいて、3日間の新任教員研修をはじめ毎月のミニFDセミナーやサポート室での個人相談などの支援を行っている。

■ 開催案内

第90回招聘セミナー

講演題目
イギリスにおける大学教員の職能開発と新潟大学での取り組み
講演者
加藤 かおり 氏
(新潟大学 大学教育機能開発センター准教授)
日時
2010年10月21日(木)16:00〜18:00
場所
東山キャンパス 文系総合館7階オープンホール

講演概要

 イギリスの大学では、教育、研究、管理運営など大学における活動の全般に関わる"アカデミア"としての専門職能開発が進んでいる。特に、教育職能については、2006年より、全英の職能基準の基準枠組み(the UKPSF)に基づいて認定される資格証明課程(PG Certificate)の修得が、試用期間中の新任教員に実質的に義務化された。

 本セミナーはこのようなイギリスでの動向を提示するとともに、そのアプローチを参照に教員の職能開発に取り組む新潟大学の事例を紹介する。

お問合せ先
西原 志保
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-5814
ご参加いただける方は、事前に上記メールアドレスまでご一報いただけると助かります。会場準備の都合によるものですので、必須ではありません。
案内用ポスターPDFPDF

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