名古屋大学 高等教育研究センター

第99回招聘セミナー 授業支援システムを活用した
授業改善コミュニティの創造
山川 修 氏 福井県立大学 学術教養センター教授 2011年7月15日(金)16:30〜18:30 東山キャンパス 文系総合館3階306号室

■ 講演要旨

本講演では、まず、Fレックスの概要について述べた。続いて、Fレックスの形成基盤・運営指針となるコミュニティ形成の原則を整理した上で、コミュニティの活性度を評価していく方法を確立するための現在の取り組みを示した。

Fレックスとは、福井県内の6つの高等教育研究機関が連携・参加するFukui LEarning Community Consortium(F-LECCS)のプロジェクト名称である。Fレックスでは、学習コミュニティをキイワードに、大学間連携を進めている。

対面の活動には、教員による研究会・シンポジウム・合宿研修会、学生主体のRT会、LT会などがある。ネット上の活動の中心は、授業を支援するLMS、コミュニティ形成を支援するSNS、学習者を支援するeポートフォリオである。これらはシングルサインオン(SSO)を利用してシームレスに利用可能である。また、SNSは完全実名制にするなど、対面の活動との連携も図っている。これらのシステムには、現在約9,000名が登録しており、月1〜2万のログインが確認されている。また、TV会議・Web会議システムなど遠隔会議の支援、授業収録・配信システム、公開講座・単位互換情報システムの運用・管理なども行っている。また、Fレックス外部へは、ニューズレターの発行、Maharaオープンフォーラムの開催、MaharaユーザコミュニティMLリストの運用など、さまざまな形で情報発信を行っている。

Fレックス全体をコミュニティとして継続・発展させるため、E.ウェンガーらの著した『コミュニティ・オブ・プラクティス』の中の「育成の7原則」を参考に、「活動」「運用」「参加」の3つのメタ原則を明確化している。「活動」では、複雑系科学におけるedge of chaos 理論を援用、「公と私」「対面とネットワーク」など対立する2つの運動を対置し、発散と収束の力による自己組織化を目指す。「運用」では、生物系科学における進化の視点から、統一性によって方向性を保ちつつ、多様性によって環境の変化に対応していく組織力を作る。また、コミュニティ活性化の要となる積極的な参加を促すため、価値の問題に焦点を当て、個人の価値実現のための実践コミュニティとしてのあり方を意識したシステム形成・運用を心がけている。

このように、コミュニティ形成のメカニズムを明らかにした上で、定量化した情報の解析から現在の状態を把握し、成長の方向性を評価することを目指して、いくつかの取り組みを行っている。ソーシャルグラフや隣接行列によるネットワークの可視化、クラスター係数や次数相関を用いた指標による状態の把握、テキストマイニング等も駆使したソーシャル・キャピタル定義、そこから学習へのコミュニティの影響の検討などである。

■ 開催案内

第99回招聘セミナー

講演題目
授業支援システムを活用した授業改善コミュニティの創造
講演者
山川 修 氏
(福井県立大学 学術教養センター教授)
日時
2011年7月15日(金)16:30〜18:30
場所
東山キャンパス 文系総合館総合館3階306号室

講演概要

福井県内の7つの高等教育機関があつまり、学習コミュニティをキーワードに大学連携プロジェクト(Fレックス)を進めている。Fレックスでは授業支援のためのLMS、学習者支援のためのeポートフォリオ(ePF)、コミュニティ支援のためのSNSをシームレスに接続し、授業内外での学習に利用している。

本講演では、FレックスでLMS、SNS、ePFをどのように活用しているか、また活用ための教員や学生のコミュニティをいかに形成したかに関して報告を行う。

お問合せ先
東 望歩
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-5814
ご参加いただける方は、事前に上記メールアドレスまでご一報いただけると助かります。会場準備の都合によるものですので、必須ではありません。
案内用ポスターPDFPDF

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