名古屋大学 高等教育研究センター

第108回招聘セミナー 「組織学習論から見たFD・SD」 安藤 史江 氏 南山大学大学院ビジネス研究科・准教授 2012年6月20日(水)18:30〜20:00 東山キャンパス 文系総合館7Fカンファレンスホール

■ 講演要旨

高等教育の場であり、知識や技術を創造する場でもある大学。だが、グローバル化や情報化の進展に伴う求められる人材像の変化、学生の意識や質の変化、そして朝活、勉強会、フューチャーセンターなどの自発的な学び、相互啓発の場の活発化などといった、さまざまな環境変化の中、大学に期待される役割にも自ずと変化が生じていることが近年よく指摘される。では、これからの大学の立ち位置はどこに定めるべきか、より将来的にはどういった存在を目指すべきか、そのために今、何を変革し、何を維持すべきなのか。

これらの問題に取り組もうとするとき、やはり大学の持つ重要な組織資源の1つである、多様なステークホルダーの知恵を最大限に活用することが必要不可欠になると考えられる。大学には、専門職としての大学教員、事務職としての事務職員、大学院生や学部生などの内部の組織成員から、高校など他の教育機関や企業、社会、学生の保護者、将来および過去の組織メンバーなどの外部の関係者まで、実に多様で多彩な人々・組織がさまざまなレベルで関与している。

そこで本報告では、こうした多様なバックグラウンドや価値観を持つステークホルダーとの協働を通じて、組織が目指す学習活動やその成果を達成するには、どのようなマネジメントが有効と考えられるのか、組織学習論の知見から検討を行うことにした。組織学習論とは個人の学習とは一線を画した、組織の学習プロセスやメカニズムを主な研究対象とする研究領域である。

多様性が組織学習プロセスや成果に与える影響についての先行研究を整理すると、今後の大学組織にもある程度応用可能と考えられるいくつかの興味深い知見が得られる。たとえば、どの程度の多様性を迎え入れるかによって、目指すべき結果の実現度が大きく変わってくることが予想された。また、多様性のマネジメントの方法を誤ると、目標を達成できないばかりでなく、むしろ望ましくない結果につながりやすい仕組みも明らかになっている。これに関連して、組織が持つ当初の多様性をどの程度に見積もるか、その正確性も結果に重要な影響を及ぼす可能性も指摘することができた。

こうした既存研究のレビューに基づいた本報告を一つのたたき台として、では今後の大学組織はどうあるべきなのか、参加者同士で率直で活発なディスカッションが行われた。

■ 開催案内

第108回招聘セミナー

講演題目
「組織学習論から見たFD・SD」
講演者
安藤 史江 氏
(南山大学大学院ビジネス研究科・准教授)
日時
2012年6月20日(水)18:30〜20:00
場所
東山キャンパス 文系総合館7Fカンファレンスホール

講演概要

外部環境が変化し、大学に期待される役割にも大きな変化が生じている中、専門職としての大学教員と事務職としての大学職員、学部学生や大学院生などの多様な価値観や行動様式を持つ組織メンバーにとって、今後ともに目指すべき方向性は何で、実現にはどのようなことが求められるのだろうか。本報告では、組織学習論の紹介および参加者との意見交換を通じて、この問題を考えていきたい。

お問合せ先
齋藤 芳子
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-5696
ご参加いただける方は、事前に上記メールアドレスまでご一報いただけると助かります。会場準備の都合によるものですので、必須ではありません。
案内用ポスターPDFPDF

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