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第111回招聘セミナー 学習研究を基盤とした協働型FD
−教育改革マネジメントの新しい形−
森 朋子 氏 島根大学教育開発センター・准教授 2012年10月17日(水)18:30〜20:00 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館7F オープンホール

■ 講演要旨

本セミナーでは,教育と学習の相互補完的な関係性を明らかにし,これまでのFD/SDの主語と目的があくまでも教職員を基盤とする教育学の視点で展開されていたことを指摘した。その上でさらに教育改革や教育改善の最終的な目的は,まさに学生の学びの質の保証および向上であり,その観点からすれば,教職員の職能開発はその一つの手段に過ぎないとする報告者の見解を述べた。

これまでのFD/SDでは,教職員が教職員を対象に展開しているため,どうしても同じコミュニティの中で個人の「ビリーフ」に抵触してしまう。学生教育への強い思いは同様であっても,一般的なFD/SD活動と教職員個人の「ビリーフ」が相容れないことは多く,これはまさにFD/SDを促進しようとする大教センターと教育の主体である学部との間にも垣根として大きく立ちはだかっている。

「学生はどのように修学するのか」「学生の学習に何が起こっているか」を,定性と定量的データをもって明らかにする学習研究は,まさにその垣根を乗り越え,学部と大教センター教員が,学生の学習状況・ニーズを共有し,お互い専門的な立場から方策を検討できる新しい教育改善の手段として位置づけられる。つまりこれまでのFD/SDが抱えていた教職員間において活動を「推進する」「推進される」の二項対立を回避し,学生の学びを豊かにすることを目的に,活動を共にするコミュニティが形成されるのである。学生の現状を把握し,教育的処置を施し,それをまた検証し,結果を共有するといったサイクルを何度も繰り返す。その改善プロセスを共有し,実際に学生の学びが改善されることを目の当たりにすることで個人の「ビリーフ」を超えた実体験がアクション・ラーニングを生み出す

地方国立S大学自然科学系学部は,JABEE認定プログラムを導入していることから成績評価の厳格化や系統的なカリキュラムには定評があった。しかし学生の基礎学力不足や動機づけの弱さを起因する留年や中退問題を抱えていた。この現状に対応するため,大教センターと学務課は,成績データを分析した内容をもって粘り強く学部に働きかけ,1年生を対象にした複数の修学をサポートする教育プログラムの開発に漕ぎ着けた。大教センターはそれらのプログラムの運用もサポートしながら,4年経つ今現在も学生の学習状況をモニタリングしている。このように学部と大教センターが協働で教育改善にあたることで達成できた学生の学びの質向上について報告したと同時に,その裏に見え隠れする持続可能な教育改善コミュニティとして在るための課題についても示唆を行った。

■ 開催案内

第111回招聘セミナー

講演題目
学習研究を基盤とした協働型FD−教育改革マネジメントの新しい形−
講演者
森 朋子 氏
(島根大学教育開発センター・准教授)
日時
2012年10月17日(水)18:30〜20:00
場所
名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館7F オープンホール

講演概要

学習研究という聞きなれない領域が,世界の教育政策で徐々に注目を集めつつある。学習研究は,認知科学,教育心理学,教育社会学等の学際分野であり,1960年代にアメリカで興った。教育が「教える学問」であるのに対して,学習研究は「学ぶことの学問」であり,まさに教育学と学習研究は相互補完的関係にある。

本セミナーでは学習研究が教育改革・FD/SDにどのような影響を与えうるのかに関して,その背景にある理論と事例を報告する。

お問合せ先
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-5696
ご参加いただける方は、事前に上記メールアドレスまでご一報いただけると助かります。会場準備の都合によるものですので、必須ではありません。
案内用ポスターPDFPDF

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