名古屋大学 高等教育研究センター

第127回招聘セミナー ルーブリック評価入門
-ブレない、時短、公平な評価をするために-
佐藤 浩章 氏 大阪大学教育学習支援センター・副センター長 2014年8月18日(月)14:00~16:00 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館7Fカンファレンスホール

■ 講演要旨

ルーブリックを取り入れることによって、採点時間を短縮させ、公平性を確保し、学生の学習を促進することができる。本セミナーでは、前半では、ルーブリックの概要を説明し、その効果的な活用方法を伝えた。後半では、作成手順を説明した上で、参加者各自がパソコンを使って、ルーブリックを作成した。ペアワークによるブラッシュアップも行った。


1.ルーブリックとは何か

ルーブリックとは、「複数の評価項目について,典型的な学習成果を数段階に分けて記述し,学習者の行動を評価するための基準(表)」のことである。客観テストでは評価できない、複合的な能力を評価する際に有効である。結果だけではなくプロセスも評価したい際にも有効であるので、長期間に渡る論文作成や実習の評価にも向いている。ポイントは、課題において何が求められているのかを、事前に学生に伝える点にある。これは従来、大学教員の頭の中に存在していたもので、可視化されていなかった。それを推測するのに成功した学生は課題をうまくこなすことができるが、それに失敗した学生はいくら時間をかけても優れた成果をあげられない。大衆化した大学においては後者の学生が増えている。


2.ルーブリックを構成する4要素

ルーブリックは以下の4つの要素で構成されている。

①課題(task description)では、学生に示す課題内容を記載する。②評価観点(dimensions)では、その課題に必要なスキルを列挙する。③評価尺度(scale)では、各スキルのレベルを示す標語を設定する。④評価基準(descriptions of dimensions)…観点と尺度によって規定される内容を具体的に記述する。


3.ルーブリックの作成手順

第一に、課題を記述する。表の上部に記載する理由は、それらが別々な場所に記載されていると教員、学生双方にとって負荷が増えるからである。

第二に、理想的な提出物や作業が兼ね備えている特徴を書き出す。似たものをまとめてタイトルをつける。例えば、「改行が正しい」「適切に引用ができている」という特徴には、「日本語表現」というタイトルをつける。それらを観点とする。「正しい日本語表現」のように価値づけをせず、中立的に表現する。

第三に、尺度を設定します。最初は3つの尺度から始めることが推奨される。尺度が増えれば増えるほど、評価基準に差をつけることが難しくなる。

第四に、評価基準を設定する。一般的には最も優れた基準、最も優れていない基準、中間の基準の順で記載する。


参考文献

ダネル・スティーブンス、アントニア・レヴィ著、佐藤浩章監訳『大学教員のためのルーブリック評価入門』玉川大学出版部、2014年3月

■ 開催案内

第127回招聘セミナー

講演題目
ルーブリック評価入門
-ブレない、時短、公平な評価をするために-
講演者
佐藤 浩章 氏
(大阪大学教育学習支援センター・副センター長)
日時
2014年8月18日(月)14:00~16:00
場所
名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館7Fカンファレンスホール

講演概要

1枚目のレポートの採点基準と50枚目のそれがずれていると気になったことはありませんか?評価にかける時間をもっと短縮できたらと思ったことはありませんか?ルーブリックがそんな悩みを解決してくれます。ルーブリックとは、教育・学習成果の評価の厳密化と効率化を進めるために使われる評価ツールです。本セミナーではルーブリックの作成手続きと様々な事例を紹介しながら、研修時間内に自らの授業で活用できるルーブリックを作成します。成績評価の厳密化と効率化を進めたい教員だけではなく、カリキュラム・プログラム評価に関心のある教職員、人事評価に関心のある教職員の方にも有用な内容です。参加者は事前に送付されるファイルを取り込んだ充電済のパソコンを持参ください。持参できない場合はパソコンを使わずに紙で作業もできます。

定員:30名(定員に達し次第、締め切ります)
お問合せ・申し込み先
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-5696
申込みにあたって、氏名、所属、連絡先メールアドレスを本文に記載願います。
申込み締切:8月8日(金)
案内用ポスターPDFPDF

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