名古屋大学 高等教育研究センター

第74回客員教授セミナー 教育は学生のためにある
−障害学生支援から始まる大学教育改革−
青野 透 氏 金沢大学 大学教育開発・支援センター・教授 2015年2月17日(火)16:00〜18:00 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館7F オープンホール

■ 開催案内

第74回客員教授セミナー

講演題目
教育は学生のためにある
−障害学生支援から始まる大学教育改革−
講演者
青野 透 氏
(金沢大学 大学教育開発・支援センター・教授)
日時
2015年2月17日(火)16:00〜18:00
場所
名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館7F オープンホール

講演概要

これからの「大学」の話をしよう。2016年4月施行の障害者差別解消法が大学教育にもたらす影響は大きい。障害者がいることを前提としないキャンパス、教室、および授業設計は全て見直す必要がある。英語による授業やアクティブ・ラーニングの実施にあたっても、多様な障害のある学生の平等参加について配慮しなければならない。教育は学生のためにどのように変わろうとしているのか、教育の本質に関わる議論を今、始めよう。

■ 講演要旨

障害学生への合理的配慮は必要であるが、高等教育の本質を変えるようなことは行ってはならない−このような指摘がある。一見当然のことに思える。しかし、それでは、高等教育の本質とはいったい何なのか、と問えば、どのように返答が戻ってくるのか。報告者は、大学教育学会を中心に教育改革に関する議論を聴き、自らも実践報告を試みてきた。それらの改革・改善提案が、大学教育の本質を変えるものではないとの断り書きに出会ったことは無い。いかにドラスティックなものに見えようとも高等教育の本質を揺るがすものではないとの暗黙の了解があった。他方、障害学生支援の議論において、本質という言葉が支援を限界づけるものとして使われている。

報告者の理解は異なる、従来、高等教育についてイメージするさい、障害学生のことが抜け落ちていた、それゆえその差別が顧みられることなく存在し続けた、それを禁止し解消するため、高等教育の本質に不可欠な要素として「障害学生への合理的配慮」が新たに付け加えられる必要がある、既成観念は打破されねばならない。

大学教育改革の新たな動きである「学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る」(中教審答申)との目的を持つアクティブ・ラーニングも、多くの障害学生にとって、学校教育における最初で最後の主体的学びの機会となる。

ある社会人から、自分たちが習ったろう学校では、口話を強制され、健聴者の言うことは正しい、疑ってはならない、健聴者に従わねばならないと教え込まれた、との経験談を聴いたことがある。自分たちは権利の主体者だという意識を一人一人の障害者が持ち、全ての人がお互いの多様性を尊重しあうことを目指す、障害者権利条約の思想からはあまりにも離れている。大学入学までの教育でそういう認識を持つことができないのであれば、大学教育においてこそ可能な、クリティカル・シンキングやアクティブ・ラーニングによって、自らの頭で考え、それを発表し、議論しあう体験の場を障害学生に提供するのが、大学の使命である。障害学生に大学で学んでよかったと思ってもらえるために教育改善することが、これからの大学の教職員そして執行部の法的責任であり、また、本来の教育責任からも当然のことである。

お問合せ先
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-5696
ご参加いただける方は、事前に上記メールアドレスまでご一報いただけると助かります。 会場準備の都合によるものですので、必須ではありません。
案内用ポスターPDFPDF

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