名古屋大学 高等教育研究センター

第143回招聘セミナー
名古屋SD研究会セミナー
大学運営の論理と組織文化 大津 正知 氏 中京大学学術情報システム部情報システム課・係長 2017年10月13日(金)16:00~18:00 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館7階 カンファレンスホール

■ 開催案内

第143回招聘セミナー
名古屋SD研究会セミナー

講演題目
大学運営の論理と組織文化
講演者
大津 正知 氏
(中京大学学術情報システム部情報システム課・係長)
日時
2017年10月13日(金)16:00~18:00
場所
名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館7階 カンファレンスホール

講演概要

多くの教職員は、大学の組織運営は上手くいっていないと感じているのではないでしょうか。様々な改革の名のもとに改組が繰り返され、却って混迷を深め、現場は不満を募らせる、このような事態は決して珍しいことではないでしょう。

しかし、組織が同じ轍を踏むのには、避けがたい原因があると考える方が自然です。その原因を理解することが組織運営の真の改善に繋がるとの考えのもと、本報告では、大学の論理や職員の組織文化を中心に、報告者の体験も踏まえ、組織運営の在り方を考察します。


■ 講演要旨

今日の大学が抱える課題に対して、様々な次元からの分析、考察が可能と思われるが、本日は、大学の組織運営の面に焦点をあてたい。

そもそも、大学という組織はどのような特徴をもつのか。大学には一定の自治があり、構成員の合意を重んじる伝統があるが、大学の目的は多様で、構成員の意思統一は難しく、また、ミッションの共有が必ずしも教育研究のパフォーマンスの向上に資するとは限らない複雑なシステムをとっている。同時に、事務組織と教員集団では、異なる組織文化を有し、大学の組織は多元的、重層的な構造をなしている。

大学の組織的特徴を踏まえると、大学の意思決定の過程は、学校教育法等の法令や学内の規程だけでは説明できない部分が大きい。実際には、非公式の手続き、教員の思考様式や事務組織の慣例等の大学の論理が介在し、非常に複雑な様相を呈している。

大学の意思決定者は、リーダーシップの発揮が求められるが、思いもよらない異なる組織文化の存在により早急な合意形成は困難であり、結果として、個別的な制度改革や強固な反対を受けにくい組織の改編に行き着く。しかも、意思決定者が代わる度に、制度改革や組織の改編が何度も繰り返されることは珍しくない。

このようにして繰り返される改革や改組には、実は大きな陥穽が隠されている。大学にとっての本当の課題、より本質的で構造的な問題は、改革の対象から巧妙に避けられ、また、人材や資金、時間的余裕等の本当に必要なものが棚上げされる。畢竟、表面的な制度の変更に終始し、大学の機能が顧みられないうちに、大学の本来の使命である教育研究の改善は、むしろ遠退いている場面すら見受けられる。

大学の機能に着目して、組織運営の改善を図るためには、組織文化を尊重したプロセス、構成員の動機付け、資金や物理的スペースの条件等の複合的な仕掛けを施すことや、意思決定者と実務担当者がそれぞれに部署を越えた二重の合従連衡を形成することが必要ではないか。また、意思決定者と実務担当者の役割を見直し、特に意思決定者は、現場に一定の権限を委譲し、自身は主に資金調達を担うなど、プロデューサーとしての役割に徹するという考えもある。そのうえで、真に有能な意思決定者なら、大学の伝統を理解し、尊重するであろうし、同時に、慣行を打破するタイミングを知っているはずである。

申し込み方法
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お問合せ先
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-5696
本セミナーに関する質問事項等があれば、上記のお問い合わせ先まで連絡をお願いいたします。
諸連絡
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