名古屋大学 高等教育研究センター

第90回客員教授セミナー 大学の教育研究パフォーマンスとリーダーシップ 村澤 昌崇 氏 広島大学高等教育研究開発センター・准教授 2018年6月28日(木)15:00~17:00 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ

■ 開催案内

第90回客員教授セミナー

講演題目
大学の教育研究パフォーマンスとリーダーシップ
講演者
村澤 昌崇 氏
(広島大学高等教育研究開発センター・准教授)
日時
2018年6月28日(木)15:00~17:00
場所
名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ

講演概要

本講演では、大学の研究教育活動について定量的評価を行い、組織特性・ガバナンス・リーダーシップとの関連性を検討する。分析には、機関レベルでの研究論文数や外形特性のデータに加え、2015年に機関を対象としたガバナンス調査をマージしたデータセットを用いる。手法には、多様な行動評価が可能なDEA、分布の広範囲を推定可能な分位点回帰を併用し、浸透する各種大学ランキングのあり方や、近年関心の高いガバナンス・リーダーシップの有効性を併せて検証する。


■ 講演要旨

本報告では、3つの報告を行った。すなわち、①2015年に学部長を対象に行った「教学ガバナンスに関する調査」を用い、リーダーシップ・ガバナンスと教育成果との関係の分析、そして機関レベルの成果指標を用いて、②ガバナンス形態が研究生産性に与える影響、③ガバナンス形態が就職率に与える影響、を報告した。

次に、データを機関レベルとした分析を行った。学部長調査をもとに、(学部長から見た)学長や教授会への意思決定権限の集中度を機関レベルで集計(平均値)し、Web of Scienceの論文数と就職率との関係を分析した。統制変数として大学の諸々の外形特性の変数を合わせて投入し、分析方法として論文数特有の分布(ゼロのインフレを起こす)に適したZero-inflated model、就職率の分位点別に、効果の違いを析出可能な分位点回帰を用いた。結果としては、学長および教授会ともに意思決定権限の集中度は、研究および教育の産出には影響を及ぼしていないことが明らかになった。

結論としては、学長に権限を集中すれば大学が「良くなる」根拠はどこにもなく、ガバナンス改革の成否を今後継続的に検証する必要があることが示唆された。さらに分析結果から、大学の特性や置かれた環境の必然の帰結として選択されうるガバナンス・リーダーシップがありうることが示されたことからも、昨今の一律に学長等のトップに権限を集約させるガバナンスの改革は、人を得ない場合を想定してない(リスクマネジメントの発想の無い)空想理想主義的改革と言わざるを得ないことを示唆した。むしろ必要なのは、構成員から支持されるような、ビジョン・能力・公正性等を備えたリーダーと、協働的・良好な職場環境の醸成であり、権限の配分はそのような要素と不可分であることが指摘された。

申し込み方法
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お問合せ先
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-5696
本セミナーに関する質問事項等があれば、上記のお問い合わせ先まで連絡をお願いいたします。
諸連絡
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