名古屋大学 高等教育研究センター

第176回招聘セミナー 好況期の大卒労働市場と初期キャリア 堀 有喜衣 氏 労働政策研究・研修機構 主任研究員 2019年11月28日(木)15:00-17:00 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ

■ 開催案内

第176回招聘セミナー

講演題目
好況期の大卒労働市場と初期キャリア
講演者
堀 有喜衣 氏
(労働政策研究・研修機構 主任研究員)
日時
2019年11月28日(木)15:00-17:00
場所
名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ

講演概要

現在日本の労働市場は人手不足となっており、ここ数年の大卒労働市場は活況を呈している。制度面でも大卒就職に関する経団連の指針が廃止され、大卒就職をめぐるルールにも変更が生じている。 労働市場環境と制度面の変化の中で、現在の大卒就職および就職後の定着はどのようになっているのだろうか。その実態についてインタビューや量的データから探る。

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■ 講演要旨

これまで日本の大卒就職研究は、教育社会学における選抜研究として展開されてきた。特に学校から職業への移行が不安定化して以降、対象大学が広がり、検討範囲も就職の一時点だけでなく定着過程にまで拡大された。他方で現在日本の労働市場は人手不足となっており、ここ数年の大卒労働市場は活況を呈している。制度面でも大卒就職に関する経団連の指針が廃止され、大卒就職をめぐるルールにも変更が生じている。そこで本セミナーでは、労働市場環境と制度面の変化の中で、現在の大卒就職および就職後の定着はどのようになっているかについて、インタビューや量的データから探ることを試みた。

採用スケジュールは人手不足の影響で早まってはいるが、日程の変更が学生の活動に対して与える影響の大きさからは、申し合わせの抑制効果がうかがえる。また過去の調査と比較すると近年の就職活動量は増加しており、学生の負担は増している。マス化した労働市場のマッチングに対して、新しいサービスも登場し、巨大化した労働市場のセグメント化が試みられつつある。

大卒者の初期キャリアは一時期に比べてかなり安定化しているが、雇用管理によって離職の度合いが左右されており、定着には企業の受けいれ姿勢が肝要となっている。さらにフリーターは高卒中心から大卒中心になりつつあり、これに伴いフリーター像もモラトリアム的なイメージから、自分のつきたい仕事に就けないステップアップ型を主流としつつあり、問題の所在が移ってきている。

今後は、景気変動や保護者との関係が論点になると共に、大学と職業教育のありようが再び研究テーマとして重要性を帯びることが推測される。人口減少により人手不足の状況が基調となるものの、短期的な景気変動は大卒就職を大きく左右する点は過去と変わるものではない。また保護者との関係は特に大学にとって困難を増しているが、日本の文脈からすると、保護者から切り離すのではなく、取り込む方向に進むことが現実的であろう。さらに大学が持つ職業教育機能については15年ごとに重要なイシューとして浮上してきているように見えるが、近年の多くの研究はいわゆる文系廃止論を念頭においており、これに対する反論として構成されている。ただし、過去の研究の陥穽である実証性の困難を乗り越えるまでにはまだ至っていない。

申し込み方法
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お問合せ先
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-3534
(セミナー専用)
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