名古屋大学 高等教育研究センター

第98回客員教授セミナー アカデミック・ガバナンスの日英豪比較 杉本 和弘 氏 東北大学高度教養教育・学生支援機構 教授 2020年1月28日(火)15:00−17:00 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ

■ 開催案内

第98回客員教授セミナー

講演題目
アカデミック・ガバナンスの日英豪比較
講演者
杉本 和弘 氏
(東北大学高度教養教育・学生支援機構 教授)
日時
2020年1月28日(火)15:00−17:00
場所
名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ

講演概要

我が国における大学のガバナンス改革は2010年代に入って大きく進んだ。2015年4月の関連法令改正をもって学長リーダーシップの確立や教授会・監事の役割見直し等によるガバナンス改革が進められたのに続き、2020年4月の私立学校法改正では学校法人制度のガバナンス強化が図られることになる。ただ、そこで語られるガバナンスのあり方はトップダウン型意思決定の徹底を求める傾向が強い。自律的・自治的なアカデミック・ガバナンスのあり方について、構成員の権限と責任の明確化も含めて問い直し、知見を深めていく作業が必要である。本セミナーでは、英国・豪州における現状と課題を合わせ鏡にしつつ、「アカデミック・ガバナンス」を比較教育学的に考察する。

■ 講演要旨

本セミナーでは、近年日本で展開されてきた大学ガバナンス改革を念頭に、オーストラリアやイギリスとの比較の観点から、大学ガバナンスの変容の状況と課題について考察した。

日本の大学のガバナンス改革は2010年代に入って大きく進んだ。2015年4月の関連法令改正をもって学長リーダーシップの確立や教授会・監事の役割見直し等によるガバナンス改革が進められたのに続き、2020年4月の私立学校法改正では学校法人制度のガバナンス強化が図られることになる。そこで語られるガバナンスのあり方はトップダウン型意思決定の徹底を求める傾向が強く、同僚制から企業体への転換によって大学の研究・教育という最重要な機能を大きく変容させてきたといえる。

海外では1990年代以降大学ガバナンス改革が進行しており、経営主義(managerialism)の台頭とその中での同僚制(collegiality)の変容・縮減がみられる。オーストラリアでは、新自由主義による高等教育改革が進んでいる。第2次大戦を契機に、連邦政府が高等教育への関与を開始し、戦後次第に統制を強化してきた。

これらの改革は、企業的大学や法人化大学を指向するものであり、コーポレート・ガバナンスによる経営主義を強調し、管理運営組織の縮小、外部委員の参画を促している。機関ガバナンスも変化しており、象徴的にはアカデミック・ボード(AB)の役割の変更・縮小を指摘できる。ABは大学構成員を学術活動の実行主体と見なし、その社会的責任と倫理的責務に基づいて合議による意思決定を図る「同僚制」に依拠した組織的基盤であった。管理運営に関わる組織の明確な機能分担と関係性、教育・研究基準の維持に向けた取組の実施、機関内における意思疎通の促進等の重要な機能を担ってきた。近年は、その存在や実質的機能の低下が指摘される。背景には、大学構成員の側にアカデミック・リーダーとしての資質や専門性が不足していること、とくに教員をめぐる深刻な状況がある。人口動態上の変化や政府財源の緊縮化等の影響もあり、1989~2013年に非正規雇用221%、任期雇用144%と大幅増で雇用環境が劣悪化している。教員の周縁化・プロレタリア化ともいわれる状況の中で、大学教授職に対する要請の質的・量的が変化しPhD保有者が高等教育セクターへの就職を回避する傾向もみられる。

こうした中で、AB再生に向けて、専門性を活かし教育・学習や研究に係る学術基準の測定や教育プログラムの改善への取組が求められる。同時に新しい同僚制(neo-collegiality)を追求することも提起されている。外部から規定されるコンプライアンス対応ではなく、学術的基準の維持をいかに組織的に担保するかが鍵といえる。教職員の組織的関与の質向上と、大学や関係団体の連携による集合的取組が必要とされている。

申し込み方法
 本セミナーへのご参加を希望される方はセミナー参加申込フォームから必要事項をご入力下さい。その際にご入力頂いたメールアドレスへの返信をもちまして、申込完了となります。
お問合せ先
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-3534
(セミナー専用)
本セミナーに関する質問事項等があれば、上記のお問い合わせ先まで連絡をお願いいたします。
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