名古屋大学 高等教育研究センター

第184回招聘セミナー ROBOT-PROOF(ロボット・プルーフ)
-AI時代の大学教育に求められる新しいリテラシ-
杉森 公一 氏 金沢大学国際基幹教育院高等教育開発・支援部門 准教授 2020年6月25日(木)15:00-17:00

■ 開催案内

第184回招聘セミナー

講演題目
ROBOT-PROOF(ロボット・プルーフ)
-AI時代の大学教育に求められる新しいリテラシー
講演者
杉森 公一 氏
(金沢大学国際基幹教育院高等教育開発・支援部門 准教授)
日時
2020年6月25日(木)15:00-17:00

講演概要

何度目かの人工知能(AI)ブームが起こってしばらくたつ。進化を続けるAIに対抗する能力を、大学教育はどのように身につけさせることができるだろうか。ノースイースタン大学のアウン学長は、『ROBOT-PROOF』(MIT press 2017=森北出版 2020)で、ウォーター・プルーフ(=防水加工・耐水性)ならぬ防AI加工・ 耐ロボット性を身につける大学教育の在り方を正面から論じている。本講演では、 経験学習(コーオプ)を通して、技術リテラシー・データリテラシー、さらにはヒューマンリテラシーの育成を目指す大学再設計について考えるきっかけとしたい。


本セミナーは ZOOM によるオンラインで開催します。オンライン参加が可能であることをご確認の上でお申し込みください。

オンライン参加の要件等
・カメラ・マイクが利用可能で、高速なインターネットに接続されたPC等が用意できること。
・発言等ができる静穏な環境で参加できること。

■ 講演要旨

「ロボット・プルーフ」が求められる背景・文脈には、農業革命、産業革命、技術革命に次ぐ「デジタルとロボット(知能機械)」革命の時代の到来がある。著者のアウンは、かつてジェニー紡績機に職を奪われた織工たちが一掃されたのち、教育が産業と労働者キャリアのギャップを埋める役割が求められた歴史経緯を念頭に、4度目の経済・社会の転換の今日にあっても、耐ロボット性を保障する新しいカリキュラムと、人間特有の創造性と柔軟性の育成を目指す学習モデル・学問分野「ヒューマニクス」を力強く提唱する。

このヒューマニクスにおける新しいリテラシー(技術リテラシー、データリテラシー、ヒューマンリテラシー)を基盤となるコア・カリキュラムとして、大学教育は、アイディアを分析して応用し、複雑な系を理解し制御するために必要なメタスキル(「批判的思考」、「システム思考」)、オリジナルな方法で価値を想像する「アントレプレナーシップ」、異なる文化の人々がその課題や状況に持ち込む多様な理解と価値を認識する能力「異文化アジリティ」の4つの高次の認知能力の育成を説く。しかし、これらを教えるには、知識内容の伝達の偏重からの拡張を図り、経験学習への移行が必要である。

経験学習(コーオプ)は、教室と現実世界での経験を統合するという点で、いかなる伝統的な学習形態とも異なる。ノースイースタン大学は、100年もの間のコーオプ教育の開発を経て、130か国以上、3300社とのパートナーシップを組み、雇用者及び学生に対するコーディネーター組織と、評価枠組み(SAIL)を構築してきた。さらには、これらを補完する準正課経験は「経験的リベラルアーツ」という正課への融合・学際プログラムへの展開や、企業内教育プログラムとしてアウトリーチとカスタマイズを実現していく。教員が新しい教育方法を備え、卒業生が母校にネットワーク活動の場を求め、大学間連携がグローバルにも境界を溶融させるというように、大学教育の姿と構造は変化と統合を続けていく。それはまさに、教育機関としての大学が社会の高度化を担う容器として、人々のダイアローグを促し、生涯にわたって学び続けるという価値創造と知識革命の時代を先導する場となることを意味する。K-12からK-60へ、ひとつの大学経営戦略の事例を映し鏡として、本邦の大学教育を振り返るとともに、私たちの手で大学と社会と時代を編み直していく希望を見出していきたい。

申し込み方法
 本セミナーへのご参加を希望される方はセミナー参加申込フォームから必要事項をご入力下さい。その際にご入力頂いたメールアドレスへの返信をもちまして、申込完了となります。
定員
90名(申込締切 6月18日) ※ 申込を締め切りました。
参加方法
後日参加申込された方にお知らせします。
お問合せ先
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-3534
(セミナー専用)
本セミナーに関する質問事項等があれば、上記のお問い合わせ先まで連絡をお願いいたします。
諸連絡
※いただいた個人情報は、本企画運営の目的にのみ使用いたします。
案内用ポスターPDFPDF

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