名古屋大学 高等教育研究センター

第24回客員教授セミナー 動機づけ理論をふまえた授業運営 京都光華女子大学における導入教育 藤田 哲也 氏 法政大学文学部助教授・高等教育研究センター客員教授) 2004年 8月24日(火) 午後1時30分 名古屋大学東山キャンパス 文系総合館7階 オープンホール

■ 講演要旨

 京都光華女子大学では導入教育として「大学基礎講座」という授業を開講して いる。この「大学基礎講座」が目指したのは、大学生および社会に出てから必要 とされるであろう、基礎的で学習スキルの習得である。受講生に対しては、単位 や出席点を得るためという「外発的動機づけ」からスタートして、学習内容自体 への関心の高まりへと「内発的動機づけ」を進むことを期待している。ただし、 もともと内発的に動機づけられている学習者に過度の外的報酬(単位、出席点な ど)を与えると、内発的動機づけが阻害される可能性があることを留意しなけれ ばならない。

 授業で工夫した点は、学生が自分の理解度を確認できるような機会を保証した ことである。具体的には、毎回の授業終了時に授業評価(自己評価と授業に対す る評価)と感想の記入を求めた。感想や提出課題は集計した後で、迅速にフィー ドバックを行った。また、公平を期すためにレポートの採点基準を公表して、最 初のレポート提出時に配布した。

 実際の教室内はさまざまな動機づけをもった学習者がおり、理想的な学習者ば かりではない。ゆえに、授業内容が実用的であることを明示し、学生が学ぶ意義 を自覚できるような配慮が求められる。ただ「教え込む」だけではなく、学生自 身が学習過程を振り返る機会を設け、学習内容の内面化を促すことが重要である。