名古屋大学 高等教育研究センター

第15回客員教授セミナー カリキュラム改革・授業改革と効果的な学習支援 金沢工業大学での実践 水澤丕雄氏 金沢工業大学教授/センター客員教授 2002年 7月17日(水) 午後4時30分〜6時 名古屋大学東山キャンパス 文系総合館5階 センター会議室

■ 講演要旨

 金沢工業大学は、「教育の付加価値日本一」を目指し、体系的な教育活動を全学的・組織的に行っている点で特徴的な大学である。教育改革の成功は、カリキュラム改革、授業改革、学習支援の3領域で同時に進めてきたことによる。カリキュラム改革では、各分野の専門知識と問題発見解決能力を4年間で習得する「工学設計教育」を中心に能力の総合化を打ち出し、プロジェクト運営能力を持つ「行動する技術者」の育成を目指している。授業改革では、初回の授業で学習支援計画書(シラバス)を提示し、目標の提示・各回の内容や課題・評価方法などを示すことが重要であり、また、定期試験1週間後に、定期試験の解説、成績評価の講評、授業内容の補充、授業アンケート等、学生と教員が授業の点検を行う実践は効果的である。学習支援としては、専任教員が常駐する「工学基礎教育センター」(基礎数理の学習を支援する学外施設)を設立した。学生と一対一で対応できるためにその教育効果は高く、また、授業内容の質問対応に加えて、学習方法の指導、教材データベースの構築なども行っており、学生の学習活動を全面的にサポートできる体制にある。

 こうした改革を可能にした要因の一つとして、教員のうち約半数が民間企業等を経験している点が重要ではないかといった点が議論された。また、教育の付加価値といった場合の付加価値とは何かという点について、きちんと試験を行い、不合格の学生に補習を行い、再び試験をするという中で学生の力を伸ばすといった例が示され、個々の学生の実力を上げるという点が議論された。

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