名古屋大学 高等教育研究センター

第11回招聘セミナー 「北大全学共通科目のコア編成について」 小笠原 正明 氏 北海道大学高等教育機能開発総合センター 教授 2000年 3月6日(月) 13:00- 名古屋大学 グリーンサロン東山 ミーティングルーム


■ 講演要旨

 北海道大学の起源である札幌農学校では、農学や機械技術のみならず、地域の指導者層を育成すべく教養主義的なジェントルマン教育(演説法など)が行われていた。しかし全国的にみると、旧制高校の廃止に伴って教養教育の位置づけが不明確になり、大学設置基準の大綱化以降、教養教育は総崩れ状態にある。ゆえに日本の大学は、「最良の専門家による最良の非専門教育」であるコアカリキュラムを早急に設計し、ヨーロッパ中世およびアメリカの土地付与型大学に続く、次世代のリベラルアーツのあり方を模索する必要がある。北海道大学ではその地域性と豊富なインフラを活かし、「北東ユーラシア」に関する教育・研究プログラムや、実習を取り入れた授業(「フレッシュマンセミナー」での附属演習林、附属牧場、附属練習船、臨界実験所の活用など)を展開している。英国における大学の数学教育は、日本とは異なった特徴をもっている。第一に、行き届いたチューター制度である。第二に、徹底した授業のバックアップシステムである。第三に、習得レベルに応じたコースの設定である。BScやBSc HonoursやMsciといったそれぞれの学位に応じて学生の履修の仕方が異なっている。これらの特徴以外にも、コラボレーターの制度、試験実施における学内および学外のチェック制度、数学に対する考え方の違いなど、日本とは異なる点が指摘された。日本と英国の大学における教育経験から、充実した大学入学資格試験制度の導入、また習得レベルに応じたコースの設置などが日本の大学に対する提言として示された。また、英国の大学で用いられているCD-ROM教材であるMathwiseとMathleticsのデモンストレーションが行われた。