名古屋大学 高等教育研究センター

■ 2010年度 教育研修プログラム

名古屋大学国際化拠点整備事業教授法研修
「専門を英語で教える」

専門を英語で学べるカリキュラムづくり

立教大学 松本茂 氏

立教大学経営学部は2006年4月に創設された新しい学部である。BBL(バイリンガル・ビジネスリーダー・プログラム)は国際経営学科の特徴的な取り組みである。これを成功させるための鍵は「理念」「連携」「人材」「検証」「広報」の5点である。

第一に重要なのは「理念」の明確化と共有化であり、核となる理念は専門科目の英語化である。専門科目の多くを英語で受講できる体制を構築することで、他大学の経営学部との差別化を目指している。また、学内の他学部との差別化についても、GPA制度の導入やSAの活用など積極的に行い、学生の意欲向上を図っている。

「連携」として最も重視されているのは、専門教育スタッフと英語教育スタッフの関係である。同大学では合同でカリキュラム開発を行うなど専門と英語の融合を図っている。こうしたプログラムに関しては、両者が対等の立場で関わり合うことが非常に重要な意味を持つ。また、英語教育プログラムのスタッフ間や外部との連携も積極的に進められている。

「人材」に関しては、人材の確保育成という2つの問題がある。プログラム内容にあった質の高い人材の確保と育成は常に大きな課題である。さらに、人材育成という意味では、学科の方針にあった学生確保も検討する必要がある。指定校入試や自由選抜入試などを通じてプログラムに合った学生の入学が積極的に促されている。

成果の「検証」に際しては、GTECやTOEICといった外部テストを受験させることによる学習成果の検証の他、授業評価アンケートを通じてプログラムの成果が明らかにされている。その他、企業人事担当者や高校教員、高校生を対象としたプログラムの外部評価も定期的に実施されている。成果の検証結果は様々な形で公開されている。

そして、プログラムの内容はwebやマスコミを通じて積極的に「広報」されている。これは、私立大学における人材確保や他大学との差別化という意味で非常に大きな効果を持つ。学外だけでなく、学内の協力体制構築も重要である。

最近では、社会英語公用語化を進める企業や海外要員を大量募集する企業なども見られ、中学・高校でも学習指導要領に英語でのコミュニケーションに関する記述があり、社会全体に英語を使って仕事ができる人材を求める流れがある。社会の動きを考えると、本取り組みによる学生と教員双方の人材育成の意義は大きい。


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