本号の構成

   

1. あなたが大学で
  学ぶことの意味

・ 大学は「知の共同体」
  である

・ 大学で学ぶことの意味は
  「学識ある市民」になること

・ 学識とはどんな能力か
・ 学識とは生き方でもある
・ 「学識ある市民」になる
 ために大学ですべきこと


2.キャンパスの倫理
おわりに
コラム
さくいん



   
 

1.5 「学識ある市民」になるために大学ですべきこと

これまで、あなたが大学で学ぶことの意味について考えてきました。次に、学識ある市民になるという目標を果たすには、あなたは大学で何をしたら良いのかを考えてみましょう。簡単に言うと、学習中心の生活を組み立てることと、大学のさまざまな資源を活用することです。順番に説明していきましょう。

(1)アルバイトやサークル活動ばかりに没頭したらもったいない
 あなたはきっと、高校時代まで厳しい受験競争にさらされてきたことでしょう。高校までの学習内容は、現代人に必要な基礎学力を形成する上で重要なことは言うまでもありません。また、高校までに身につけた学習習慣は、これからもあなたの人生に必要です。

 一方、大学生になったら試験勉強から解放されて、アルバイト・部活動・サークル活動・恋愛なども充実させたいと思う人もいるかもしれません。みなさんの親や大学の先輩などの中には、「大学は要領よく単位を揃えて卒業さえすればいい。勉強以外の大学生活を楽しみなさい」とアドバイスする人もいるかもしれません。たしかに、学習以外の大学生活を充実させることもあなたの人生において重要な意味を持つでしょう。また、名古屋大学の卒業証書さえ持っていれば、自分の望む職業に就くことができると考えている人もいるかもしれません。

 しかし、学習以外の大学生活の充実ばかりに気をとられると、学識ある市民になる貴重な機会を逃してしまいます。その貴重な機会とは、大学生の本分である学習活動や研究活動に打ち込むことです。サークル活動、社会勉強、恋愛、友だちづくりなどは、その気になれば一生を通じて続けることができます。しかし、生活の大部分を学習だけに費やすことができるのは今をおいてありません。大学の卒業生の中には、「もっと勉強しておけばよかった。他のことは後からでもできたのに」と後悔する人も少なくありません。今しかできないことは何なのか、考えてみましょう。

(2)大学の資源を最大限に活用する
 学習中心の生活を送る上で、名古屋大学はあなたにとって最高の環境であるといえます。大学にはあなたが成長し、「学識ある市民」になることを手助けしてくれる資源がたくさんあります。その資源には、学習スペースや実験機器などの物的資源のほかに、気づきにくいけれども重要なものとして「人という財産」、「情報という財産」があります。名古屋大学を例にとって説明 しましょう。

 名古屋大学には1800 人を超える教員がいますが、その多くはそれぞれの研究分野でのトップランナーです。あなたは多様な専門分野の研究者のもとで知の最前線を学ぶことができます。そして、あなたが力をつけていけば、単に知を享受するだけでなく、知が生まれる瞬間に立ち会ったり、新たな知を創造することも不可能ではありません。

 あなたにとっての人的資源は教員だけではありません。大学には多様な能力や経験、文化的背景をもった人々が集まっています。このような自分とは異なった人との交流は、あなたの視野を拡げ、大きな座標系でものを考えるきっかけを与えてくれるでしょう。たとえば、研究室の先輩、大学院生、外国人留学生、社会人学生など、実に多様な人々がキャンパスで学んでいます。

 名古屋大学では、あなたにさまざまな「出会い」をもたらすきっかけを提供しています。たとえば、あなたが1 年次に受講する基礎セミナーには、多様な学部の学生が参加しています。きっとあなたは他の受講生からいろいろな知的刺激を得ることでしょう。学生相談総合センターには、名大の上級生が新入生の学習・生活相談にのってくれる「名大ピア・サポート」という仕組みがあります。留学生センターでは、名古屋大学に在籍する留学生と日本人学生が1 対1 で交流できるように「学生パートナーシッププログラム」を提供しています。これらの情報は、ホームページで調べればすぐに入手することができます。

 名古屋大学には、あなたの学習のための資源が豊富に揃っています。たと えば、附属図書館には、280 万冊を超える書籍が所蔵され、自由に閲覧する ことができます。また、膨大な種類の学術雑誌や電子ジャーナルが充実して います。これらはみな人類の大切な知的遺産であり、あなたとの出会いを待 っています。また、全国屈指の研究重点大学である名古屋大学では、研究集 会や国際シンポジウム、講演会、学会などが頻繁に開催されています。新し い知が生まれる現場を体験できるのも大学ならではです。

  この他にも、名古屋大学にはあなたの学習を支援するための資源が十分に用意されています。あとはあなたがどう有効活用するかにかかっています。

コラム 名大サロンを覗いてみよう 「名大サロンを覗いてみよう」

【先輩からのアドバイス】

・大学生に必要なのは頭の良さではなく、「考える力」だと思います。この 「考える力」を養うための場所として、大学があると思います。そうでなけ れば、大学なんか必要ありません。自発的な態度が「考える力」を養うでし ょう。(教)

・大学とは「異文化交流」の場である。名大は留学生が大変多く、また旧帝 大ということもあり、北は北海道、南は九州・沖縄まで様々な地域から学生 が集まっている。この日本・世界各地の優秀な学生と交流することで、学問 をより深く追究することができるようになるとともに、受験勉強で狭くなり がちであった視野を広くできる。これは大学以外では学べないことである。 (法)