コラム:コースデザインは手順が命

 「コースをいかにデザインするか」を考える際のポイントの一つに、明確な学習目標にそって教材を作成しましょうというものがありました。この考え方はインストラクショナル・デザインという考え方に基づいています。Dick and Carey (1978)が示した下図のモデルは、その代表的なものです。

 このモデルでは、カリキュラムに沿って目標を明確に立てる→目標の到達を示す最終試験を作る・レポート課題を設定する→試験・課題のクリアに必要な授業内容・教材を決定する、という手順が示されています。この手順のポイントは、授業内容を考える前に、試験問題などを考えるところです。こうした明確な目標にそった授業づくりが、教育効果を高めると考えられています。

 私たちがかつて受けてきた授業の多くは、まず講義が先にあり、試験の時期が近づいてきてから、どのような問題にしようか、と考えがちでした。さらに、「今期はこのトピックまで進めなかった、試験範囲から外そう」、「このトピックは学生の反応がよかったから試験範囲はここだけにしよう」、「昨年までの学生より学力不足を感じるから試験問題を少しやさしくしよう」ということもあったでしょう。

 私たちはそろそろ恩師の授業スタイルから脱却する時が来ているのかもしれません。

Dick and Carey (1978), p.9より作成

参考文献
Dick, W. and L. Carey (1978) The Systematic Design of Instruction, Scott, Foresman and Company.