コラム:大規模クラスで教えるコツは

 規模によります。FD講演の後にこんな質問をされたときには、これまでは、300名を越えたら人格を変えてエンターテナーに徹してください、・・・でした。某国立大学の教養教育の授業では、700人規模のクラスがあると聞きました。これはもうシアター(劇場)空間のコンセプトに立つ興行的授業と考えたほうがよい。教師は役者か演出家になって、観衆を刺激的に楽しませるしかない。

 クラス規模5000人という英国の遠隔通信授業の例を聞いたことがありますが、この場合は独学者という個が単位であって、大規模集団という捉え方ではない。これは「学習商品」にまで仕上げられたコース教材パッケージの組織的開発力があって成り立つ形態です。

 大規模クラスで教えるコツは案外この辺りにあるようです。例えば、どうしても双方向型を実現したければ、コースの全体を見渡して設計した課題教材を作成し、何名かに報告させ、それから講師の解答例をその場で解説して自己採点させる。その結果を提出させる。疑問点はその場で質問時間をもうけるか、もしくは紙に書いて提出させる。こんな要領です。150名規模まではいくと思いますが、ポイントは課題型教材の設計と開発力です。