コラム:オフィスアワーよりも大事なこと




 「単位」時間の考え方のなかには授業外あるいは教室外での学生の学習に対して、教師が指導や相談を行う時間つまりオフィスアワーが含まれています。日本でも最近ではシラバスのなかにこのオフィスアワーを明示したりして、制度としては定着した感があります。
 しかし、授業外の学習はチューターという指導教員が分担する英国大学の制度と違って、日本の場合は授業のサポートスタッフがほとんど制度化されていません。このため教師がオフィスアワーに割く時間にも自ずと限度がありますし、同じ教師が学生と1対多の関係であれ授業と授業外の時間を長くつきあうことになるために、教師と学生双方にいろいろな社会的マナーが求められることになります。
 日本の場合には往々にして外国の新しい制度を効率的に(和風化して)摂取し後は個人のレベルにまかす傾向がありますが、オフィスアワーについては接触時間の範囲はもちろん、その方法などについても組織としてのガイドラインを示し、その研修と評価を実施する必要があると思います。
(高等教育研究センター・池田輝政)