コラム:学生の時間外学習をどう考える?

 初めて授業を担当することになった新人教師のAさんは、学生にどれくらい宿題をだしたらいいのか迷っていました。そこでAさんは教育熱心な先輩教師のBさんとCさんに相談しました。

新人教師A:「B先生、C先生。授業で宿題ってどれくらいの量だせばいいのですか?」

教師B:「Aさんの授業の場合、設置基準のルールによると、90分の授業に対し180分の時間外学習が必要だよ。」

新人教師A:「そんなルールがあったのですか?」

教師B:「もちろん。単位というのは学生の総学習時間数で計算するからね。だから僕の授業では相当の宿題を出してるんだ。宿題をきちんとだすと、学生が身につける知識や能力は全然違うからね。」

新人教師A:「そうですね。」

教師C:「僕の考えはちょっと違うんだ。時間外学習は学生の自主的な学習に基づかなくてはいけないと思うんだ。だから教師は参考になる文献や資料などを紹介するのはいいけど、宿題として課すのはあまりよくないと思うよ。」

新人教師A:「確かに。」

教師B:「けどね、C先生。今後単位互換や教育評価が進みそうだから、きちんと時間外学習についても教師が責任を持つ必要があるんじゃないかな。今後そういった証拠が求められると思います。アメリカのある大学のシラバスを見ると、その授業ですることの欄とその授業までにすることの欄が区別されて書かれているし。」

教師C:「B先生の言いたいことはよくわかります。最近の学生はあまり勉強しないしね。でもね大学というところは、自主的に学習や研究ができるような人材を養成しなくてはいけないと思うんですよ。」

新人教師A:「うーーん。時間外学習はやってもらいたいけど、自主的な学習であってほしいし・・・・。うーーーん。そうだ。自主的な学習をするよう強制すればいいんですね!」

教師B&教師C:「えっ?」

(高等教育研究センター 中井俊樹)