講演要旨
戦後米軍占領下における日本とドイツの教育改革の過程を比較すると、「成果」
のあった日本とそうでないドイツとで大きな差がある。日本の場合、周辺の対米
対抗勢力が弱かったこともあって、日本人の指導者を利用しながら米軍主導での
教育改革が一貫して進行することができ、日本人側も協力的であった。一方、ド
イツの場合は、米国のみならず、英・仏・ソ連の「4つの民主主義」が交錯する
中での改革であり、米側が完全なイニシアティブをとれない状況であった。その
ような背景から、米側からの改革提案に対してもドイツの教育指導者層は反対の
立場をとるなど、米国モデルの一方的受容が起こりにくい状況であった。
