実験レポートの構成方法

実験レポートでは、実験テーマ名、所属・学生番号・氏名、提出年月日を冒頭に記したのち、目的⇨原理⇨実験方法⇨結果⇨考察⇨まとめ⇨参考資料(⇨感想)という順序で構成するのが基本です。ただし授業の中で指示があった場合にはそちらに従ってください。

  • 目的:その実験を何のために行うのかを記します。テキストの丸写しではなく自分の言葉で書くことによって、内容の理解につながります。自分で研究テーマや実験方法を決定した場合には、関連する先行研究における知見と限界、自分の研究テーマの意義や実験方法の優位性を含めるようにします。項目名も「目的と背景」などとするとよいでしょう。
  • 原理:実験の基礎となる理論や原理について、概要をまとめます。教科書を丸写しにせず、理解した内容を要約して記述します。学問分野や実験テーマによっては、「目的」または「実験方法」に組み入れることもあります。
  • 実験方法:具体的に何をどのように行ったのかを、正確に過去形で書きます。他の人が実験レポートを読んだだけで実験を再現できるように記載することが必要です。
  • 結果と考察:分けて書くこともあれば、まとめて書くこともあります。「結果」は、実験によって測定されたデータや観察された現象そのものの説明です。多くの場合、グラフや表にまとめたり、写真等を貼付したりすることになります。推測や判断、意見などは交えないようにします。「考察」は、実験の目的を達成できたどうかを検証する箇所です。得られた結果が意味するところを、既存の理論などと照らし合わせながら論理的に書きます。感想や主観は除きます。
  • まとめ:冒頭の目的に対応する結論を書きます。
  • 参考資料:実験テキスト以外に参照ないし引用した文献があった場合、それらを記載します。また、本文中の該当箇所に引用情報を入れておく必要があります。《参照⇒良識をもって学問をしよう!》

「感想」を記載すべきかどうかは判断の分かれるところですが、実験を通じた学生自身の学習の記録を振り返るよい機会になり、また教員が授業を設計する上での重要な情報となることがあります。「結果と考察」に書かれるような事実とは明確に分けて、感じたことや今後の課題、学生実験の改良につながるような提案を記しましょう。

正確なデータを取得する

間違いのないように慎重に実験・観察をすること、実験・観察の条件と得られたデータを正直に記録すること、単位系とともに表現することが必要です。出来事を時系列に細かく記録しておくと、後で役にたちます。

もし理論値と異なっていても、記録を残すようにしましょう。正確なデータとは、理論値と合っているという意味ではないことに注意しましょう。なぜ異なるのかを考えること、それを踏まえて再実験することも学生実験の大切な要素です。

複数回実験を行なって、データの精度を高めましょう。一度きりしかできない実験の場合はより慎重に進めることが求められます。実験中に起きた些細に思える事柄も記録しておきましょう。結果の精度を検討する際の材料になります。

数量的表現を用い、客観的に書くのが基本です。例えば「Aを少しずつ加えた」ではなく「溶液BにA200mgを10秒程度かけてゆっくり加えた」のように表現します。観察した現象について文章で記載する場合も同様です。どうしても数量化しにくい箇所などは図や写真なども活用して細やかに描写しましょう。

図表作成の基本を知る《参照:図表を作る》

図表には図表番号とタイトルを入れます。一般に、図の場合はその下に、表の場合はその上に配置します。

グラフには縦軸、横軸それぞれの物理量や単位を、観察図(デッサン)、イメージングデータなどには縮尺を、必ず入れます。実験条件や色相の意味することなど、グラフを理解するのに必要な情報も添えます。引き出し線を使うなどして説明テキストを加えるときは、図の邪魔にならず、どの部分についての説明かが明確になるよう留意します。

図表はシンプルに作ることが基本です。表の場合は、外枠を消す、横罫線だけで構成するなどです。図の場合は、1つの図では1つの内容を表現する、意味のある色づかいに絞るなどにより、注目すべき箇所が読み手に伝わりやすくなります。

図表の作成にあたっては、自己流で表現すると読み手が混乱しかねないため、慣習にしたがった表記を心がけます。例えば条件温度によってグラフ系列の色を変える際に、赤系を高温、青系を低温にします。実験手順のフローチャートならば上から下、左から右へと流します。装置図では、断面図を基本に、部分的に外観図を加えることで読み手が全体像を想像できるようにします。

多方面から科学的に考察する

既知の理論等との整合性を検討します。理論値や文献値と比較したり、実験精度、測定誤差について論じたりします。実験精度を高めたり、同程度の結果をより容易に得たりするための改良アイディアなども記載しましょう。

記述は客観性を保つようにします。例えば、「本実験の結果は、〇〇理論と合致することが明らかになった。すなわち‥‥」「本実験法では…という限界があるが、…については十分な精度を提供できることがわかった」という具合です。実験が「うまくいきました」だけでは考察とは言えませんし、「おもしろかった」は感想であって考察ではありません。

学生実験には、その後の高度な研究活動の基礎となる技能と態度を養うという面があります。学生実験から世界初の発見が生まれる可能性はどちらかといえば低いものの、得られた結果から少しでも多くの考察を引き出そうとする姿勢が身につくことには大きな意味があります。

最後に手直しをする

客観的、論理的に書かれているかをまず確認します。図表の要素に過不足がないかも確認しましょう。

レポートの読みやすさ、わかりやすさを確認します。誤字脱字がない、である調で統一されている、主語述語の対応が取れていることはもちろんですが、各段落のメッセージが明確になっていることも重要です。

仲間と一緒に確認したり、TAに相談したりしてみましょう。図書館にも学生実験に関する書籍が収蔵されていますので、参照してください。

推薦文献
D. C. ベイアード著、加藤幸弘ほか訳(2004)『実験法入門 実験と理論の橋渡し』ピアソン・エデュケーション.
発行|
名古屋大学教養教育院 & 高等教育研究センター
初版|
2018.3.20
作成|
齋藤 芳子