コラム:豊田講堂の由来は?
「豊講」の名で親しまれ、名古屋大学のランドマークとなっている豊田講堂は、トヨタ自動車工業株式会社(当時)の全額寄付によって1960(昭和35)年5月9日に竣工しました。当時の勝沼精蔵総長が石田退三社長に1億円の寄附を依頼したところ、「せっかく寄附するのだから、恥ずかしくないものを」と、2億円の寄附を快諾してくれたという逸話が残っています。設計は当時ワシントン大学准教授の槇文彦氏。竣工した豊田講堂はモダニズム建築の傑作として1962年の日本建築学会賞を受賞しています。 ところで豊田講堂という名称は、実はトヨタ自動車ではなく、その始祖ともいえる日本の発明王、豊田佐吉翁(1867-1930)にちなんでつけられました。それが「トヨタ講堂」ではなく、「豊田講堂」であるゆえんです。ちなみに、現在の名古屋大学全学同窓会長である豊田章一郎氏は、佐吉翁の直系の孫に当たります。 名古屋大学には人名にちなんだ建物がいくつかあります。現在の博物館がある古川記念館は地元の実業家である古川為三郎氏・志ま夫妻の寄附によって1964年に図書館として設立されました。現在の中央図書館ができるまでは、古川図書館と呼ばれていました。このほか、2001年にノーベル化学賞を受賞した野依良治氏(元本学理学研究科教授)を記念して、野依記念物質科学研究館と野依記念学術交流館が2004年に建てられました。野依学術交流館の中にはカフェがあり、緑に囲まれた広い空間は静かに読書をするには最高の環境です。 天気の良い日にはぜひ学内を散策してみて下さい。名古屋大学の歴史に触れることができます。 |