コラム:大学時代に本を100冊以上読もう

 読書は習慣化することが大事です。読書の習慣がついていない新入生にとっては、まとまった本を一冊通して読むことは苦痛かもしれません。統計によると、名大生の読書量は昔よりもだいぶ落ちているようです。これは全国的な傾向ですが、マンガしか読んだことがない大学生は珍しくありません。名古屋大学も例外ではないようです。テレビやマンガは画像や音声を通して相手が勝手に語りかけてくれますので、あなた自身は頭を働かせなくても簡単に情報を受信できます。これに対して、読書は自分で考えて、頭の中で活字をイメージ化しないと、その内容を十分に吸収できません。教育学者の斎藤孝氏(明治大学教授)は、マンガをスナック菓子にたとえています。スナック菓子はついつい癖になりますが、ちゃんと主食(活字の読書)をとらないと人間として健全な成長はできません。

 上記の斎藤氏は読書する力のことを「読書力」という言葉を使って表現し、読書力をつける目安として文庫100冊、新書50冊を読むことを提唱しています。そうしていくうちに読書が苦痛でなくなる、読んだ本の要約が的確にできるようになる、と彼は言います。これは、基礎的な力を身につけるためには、一定の量をこなす必要があるという考え方ですね。大学4年間でこれだけの量を達成するためには、だいたい文庫本を月2冊、新書本を月1冊ペースになります。時間のある大学生なら十分に達成できる水準だと思うのですが、どうでしょうか。いずれにしても、読書の習慣を大学生のうちにつけておくことは、一生の財産になるでしょう。