コラム:学識(スカラーシップ)とは「学ぶこと」そのものである

 これまで「学識ある市民」になることの重要性について説明してきましたが、「学識」とは「スカラーシップ(scholarship)」の日本語訳です。「スカラーシップ」と聞くと、受験英語で反射的に「奨学金」を思い浮かべる人が多いでしょう。たしかに奨学金という意味もあります。しかし、本来の意味は「学ぶこと」それ自体です。スカラーシップは、学問そのものを指すと同時に、学問を志し、学問に取り組む人とその姿勢を意味します。この場合、学問に取り組む人とは、大学教員に限らず、大学で学ぶすべての人が含まれます。高校までは教員=教える人、生徒=教えられる人でしたが、大学では教員(学者)も学生も、ともに学ぶ存在です。そして、大学で真理を探究することを通して、知識を発展させるためのさまざまな思考法、広い視野、他者に対する寛容さを身につけることができます。