コラム:「ハラスメント」とは迷惑行為のこと

 ハラスメント(harassment)とは嫌がらせや迷惑行為のことです。加害者の意図や意識に関係なく、被害者が苦痛を感じていればハラスメントと認定されます。つまり、気づいていないうちに、あなたもハラスメントをしてしまう可能性があるということです。ハラスメントにはいろいろな種類があります。代表的なものを紹介しましょう。

  • セクハラ(セクシュアル・ハラスメント)
     他の人を不快にするような性的発言、体を触る、わいせつ画像を配布するといった行為、性に対する差別的発言などの言動。名古屋大学でも残念ながらいくつかの被害が報告されています。

  • アカハラ(アカデミック・ハラスメント)
     教育・研究機関における上下関係や権力を用いた各種嫌がらせ。研究の阻害、研究成果の盗用、教育・研究に関係のない事柄の強要、人事上の圧力など。

  • アルハラ(アルコール・ハラスメント)
     一気飲みを強要する、他人に無理やりアルコールを飲ませるなど、酒席での各種嫌がらせ。研究室やサークル活動など、先輩ー後輩関係で起きるケースが多い。

 自分が加害者にならないようにするためには、第一に、当たり前のことですが、相手の立場になって考えることです。大学のように多様性の大きなコミュニティでは、自分にとっては何でもないことでも、相手にとっては深刻になるケースが多々あります。第二は、何がハラスメントに相当するのか、という基準を知っておくことです。ひょっとすると、その基準とあなた自身の認識の間にズレがあるかもしれません。そのズレに気づくことが大事です。

 名古屋大学ではセクシュアル・ハラスメント相談所を設置し、随時相談に応じています。また、2002年に「セクシュアル・ハラスメント防止対策ガイドライン」を策定しています。このガイドラインによれば、セクシュアル・ハラスメントは次のように定義されています。

「セクシュアル・ハラスメントとは、人権侵害行為であって、次に掲げる行為をいう。

  1. 行為者の意図にかかわらず、性的な関心や欲求に基づく言動により、相手や周囲の者を不快にさせること
  2. 相手の望まない性的な言動
  3. 交際または性的関係の強要
  4. 性的な画像・文書の掲示、提示により良好な環境を害すること」

 この定義によると、セクシュアル・ハラスメントとは、行為した者が意図したかどうかは問題ではありません。また、必ずしも男性から女性への行為だけでなく、その逆もありえますし、同性間でも発生することがあります。それから、大学のセクハラというと教師−学生間をイメージしがちですが、学生同士のケースも少なくありません。知らない間に、誰もが加害者になってしまう可能性があるということを忘れないようにしましょう。