コラム:学生がつくったキャンパス倫理基準 −スタンフォード大学の事例−

 アメリカのスタンフォード大学には、学生の手によって作られたキャンパス倫理に関する基準があります。これは、「オナーコード」(The Honor Code)と呼ばれており、1921年に大学から発表されました。オナーコードは、個人としてもまた集団としても学生が守るべき約束事、とされています。その約束事とは、次のように記されています。

  1. 学生は試験の場において、他の学生を助けないし、また逆に助けを受けない。学生は授業での学習活動、レポート作成、その他教員が成績をつける基準として使用するすべての学習活動において、許可されていない手助けをしないし、また逆に手助けを受けない。

  2. 学生は、自分自身のみならず他の学生も含め、この条文とそこに込められた精神を守ることに責任を持つという点において、自分の果たすべき役割を積極的に果たす。

 ちなみに、オナーコードに違反すると見なされてきた行為は以下のように例示されています。
  • 他人の試験の答案を写すこと
  • 他人が自分の答案を写すのを許すこと
  • 許可されていない共同作業
  • 剽窃行為(他人の考えや主張をことわりもなしに自分のものとして発表すること)
  • 他人の学習活動を自分のものであると言うこと
  • 常識的に考えて、他者からの助けが許可されないとわかるはずの状況下で、手助けをしたり、手助けを受けたりすること

 考えてみれば、これらはごく当たりまえのこと。こうした基準が、学生自身の手でつくられ、大学全体で大事にされているところに、「知の共同体」の精神が体現されているといえましょう。