名古屋大学 高等教育研究センター

第32回客員セミナー 大学経営人材及び職員のプロフェッショナル化と大学院教育 馬越 徹 氏 桜美林大学大学院教授 2006年 7月26日 (水) 午後5時〜午後6時半 名古屋大学東山キャンパス 文系総合館7階 オープンホール

■ 講演要旨

 大学を取り巻く環境は、グローバル化と市場化が進む中で、ますます競争的となりつつある。大学は「知の共同体」から「知の経営体」への変化を余儀なくされており、ガバナンス改革が急がれている。近年における国立大学の法人化や私立学校法改正による理事会機能の強化は、大学のガバナンス機能強化を目的に法制化されたものといえる。ところが日本では、ガバナンス改革をになう経営人材および専門的大学職員を養成するためのシステムの構築が著しく立ち遅れている。国立大学法人の役員会(理事)は教授職を兼務する者が多数を占めておりその経営力は未知数であり、職員は相変わらず公務員試験と類似の方法で採用されている。私立大学の場合も近年、法人(理事会)および教学の上級管理職に外部人材の登用が進んでいるとはいえ、彼らが「大学経営」のプロ足りうるかはこれまた未知数である。

 この点、大学経営で世界をリードするアメリカの場合、半世紀も前から大学院(高等教育プログラム:修士、博士課程)が大学経営人材および大学職員のプロフェッショナル化に大きな役割を果たすと同時に、トップ・アドミニストレーターを対象とする短期集中研修プログラム(Board Development, BD)にも力を入れてきた。また各種専門職団体(アドミッション、学生相談、奨学金、外国人留学生等の分野)による専門研修プログラム(Staff Development, SD)も、大きな成果を挙げてきていることは周知のとおりである。


 日本でも大学職員のプロフェショナル化は、私立大学職員幹部による学会の結成(大学行政管理学会、1997年)に端を発し、2000年以後は大学職員をターゲットにした大学院コース・プログラムの開設という形で続いている。現在のところこの種の大学院は、広島大学(高等教育開発専攻、2000年改組)、名古屋大学(高等教育マネジメントコース、2000年)、桜美林大学(大学アドミニストレーション専攻:通学制2001年・通信制、2004年)、東京大学(大学経営・政策コース、2005年)、名城大学(大学・学校づくり研究科、2006年)に設置されているが、今後このような動きが加速するかどうかは大学経営陣の意識改革(人事政策)の如何にかかっている。これらの専門大学院を修了した大学職員の能力を評価し、大学経営の主要ポストに彼らを登用することになれば、日本の大学におけるガバナンスのあり方は大きく変化することが予想される。

■ 開催案内

第32回客員セミナー
大学経営人材及び職員のプロフェッショナル化と大学院教育

馬越 徹 氏
(桜美林大学大学院教授)

日時:2006年 7月26日 (水) 午後5時〜午後6時半
場所:名古屋大学東山キャンパス 文系総合館7階 オープンホール

講演概要
 グローバル化の進展と社会変化の中で、大学は「知の共同体」から「知の経営体」に変貌を遂げつつあるといわれています。そこでカギとなるのは、大学経営をになう職員(経営幹部職員および一般職員)のプロフェッショナル化の問題です。このセミナーでは、プロフェッショナル化の一つの方法としての大学院教育のあり方を、日・米・欧の大学院教育の比較の観点から考えます。

言語:日本語

お問い合わせ: 近田 <chikada@cshe.nagoya-u.ac.jp> (tel:052-789-5692)

※セミナーに出席を希望される方は、セミナー当日までにseminar@cshe.nagoya-u.ac.jp宛へご連絡下さい。(準備等の都合のためであり、必須ではありません。)セミナーは研究者、教育関係者、教育機関の事務担当者、学生(大学院生・研究生・学部生)、社会人など多くの方の参加を歓迎しております。また、セミナー開催情報メールサービスも是非ご利用下さい。

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