名古屋大学 高等教育研究センター

第73回招聘セミナー コラボレーションを実現する教員・職員関係論 今田 晶子 氏 立教大学大学教育開発・支援センター課長 2008年11月5日(水) 18時15分〜19時45分 東山キャンパス 文系総合館 7階 オープンホール

■ 講演要旨

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 立教大学では、1997年からの実施に向け、1994年秋から教養教育(全学共通カリキュラム)改革を準備した。言語教育を例に挙げると、理念としての「言語運用能力の習得」を実現する、習熟度別クラス編成や、1年次集中(週4回授業)、統一カリキュラム(レベルが同じクラスでは同一テキストを使用)、再履修クラスの設計などを職員が考案、整備した。科目担当者の決定については、兼任講師の入れ替え、専任教員の任用などが実現され、総合科目では、「専任担当ルール」、1科目で3人の講師が話す新制度などが設けられた。加えて、英語の授業では可動式の机にするなどの、カリキュラムに合致する施設・設備の確保や、担当者にカリキュラムの説明を行う、担当者連絡会などが実施された。また、全学共通カリキュラム運営センターが組織され、カリキュラムの検討・展開科目の決定・担当者の決定・予算・単位認定・ガイダンス・広報などのすべてを行った。この組織には専任職員3名と教務課メンバーが約5名加わった。

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 2004年10月に、「立教大学の教育改革、教育改善の支援」を目的とした、大学教育開発・支援センターが開設された。その構成員には、2名の専任職員と1名の派遣職員が含まれ、センター主催イベントの企画・運営や、諸活動のマネジメントを行っている。センターと関わる教職協働には3つのレベルがあり、センタープロジェクトでは、総長補佐、事務部長、関連部局の職員が協働する。また、2007年10月からスタートした教育改革推進会議では、総長補佐、学部長、事務部長、関連部局の職員が関わっている。なお、このとき協働する教員のほとんどは行政職についており、職員と方向性を同じくする立場にあることは留意しなくてはならない。

 教職協働を考える際、教員・職員関係には、3つのモデルがある。「車の両輪」モデルは、教員は教育と研究、職員はマネジメントを担当する、というように分業、並列的である。「プロジェクト型」モデルは、教員と職員の混成チームが、例えば新学部新設などの共通の課題に取り組むものであり、役割分担はそれほど固定化されていない。「アカデミック・コミュニティ」モデルは、従来の「教員」「職員」という区分けでは分類できないプロジェクト型から生み出される新たな業務などを遂行していく。立教大学では、大学の教育力に直結してはいるが教員と職員のどちらでもない「プログラム・コーディネーター」などが置かれている。大学改革のなかで増加しているのが、「プロジェクト型」と「アカデミック・コミュニティ」モデルである。「教員」と「職員」のどちらでもない業務を遂行する、「新しいプロフェッショナル」が今模索されているのである。

■ 開催案内

第73回招聘セミナー

講演題目
コラボレーションを実現する教員・職員関係論
講演者
今田 晶子 氏(立教大学大学教育開発・支援センター課長)
日時
2008年11月5日(水) 18時15分〜19時45分
場所
東山キャンパス 文系総合館 7階 オープンホール

講演概要

 昨今、大学改革や大学経営における職員の役割はますます注目されてきており、実 際の業務の範囲も広がっている。 大学改革を進める上では、教員と職員がどのように コラボレートするかが一つのポイントであろう。 報告者は私立総合大学職員であり、 これまでに教養教育改革・IR・教育改革推進などに関わってきた。 その経験をベース に、教員と職員の関係に着目した3つのモデルを提示し、それを通して職員の役割を再考するとともに、SD(職員の職能開発)についても共に考える機会としたい。

お問い合わせ
夏目 達也
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-5696
案内用ポスターPDFPDF

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