名古屋大学 高等教育研究センター

第92回招聘セミナー 学生リーダーを育てる 〜愛媛大学リーダーズスクールの取り組みと成果〜 秦 敬治 氏 愛媛大学 教育・学生支援機構教育企画室 副室長 2010年11月16日(火)18:30〜20:00 東山キャンパス 文系総合館7階オープンホール

■ 講演要旨

講演では、新たな学生支援のあり方について議論を深めるために、愛媛大学で行われているリーダー養成プログラム事例を検討した。

これまでの学生支援は、困っている学生を中心に行われてきた。しかし、高いスタディスキルと高いソーシャルスキルを持った「第一層の学生」(学生リーダー)を支援することによって、学内全体を活性化することができるのではないかと考えた。これが、愛媛大学リーダーズスクール(ELS)の背景である。

ELSの理念は、「組織の目標達成のために責任を持って行動することで、大学活性化や社会づくりに貢献する学生リーダーの輩出」である。目標は、以下の通りである。?ELSの受講により所属組織(授業やゼミ、サークルなど)の様々な問題を解決できるようになること、?一般学生と協同し、所属組織を活性化させることができること、?卒業後もリーダーシップを発揮することにより地域社会に貢献することができること、?その経験を通して人間的に成長できること、である。

目標を達成するために、様々なプログラムが行われている。ELSプロジェクト、愛媛大学・香川大学合同研修、ELSゼミナール・ELS合宿研修などである。ELSゼミナールは、ELSプログラムの上級プログラムである。スタッフによる観察・助言、学生同士による振り返り、自らの振り返りを行う。これらがその後の行動変容にいかにつながったかをさらに面談等で確認する。成果としては、自己省察の深まり、対人関係スキルの習得、他者との関わりへの積極的な態度などが大きい。成果は「学生同士の感化」と「教職員の関与」から強く影響を受けている。

学生リーダーシップ養成においては、体系的、継続的、段階的なプログラム構築が効果的であり、それらを機能させるには教職員の深い関与が必須である。特に重要なのは、教職員自身が高い知識、スキル、態度を有することと同時に、時間的・精神的な覚悟を持って学生に関与していくことである。学生同士が「クリティカルフレンド」、すなわち批評し合える関係を築くことの有効性を理解し実践できるようになることで、本人も他者も成長し合うことが可能となる。

一部の学生に対し集中的な学生支援を行うことにより、その学生が一般の学生に対しピア・サポート、ピア・エデュケーションを行い、結果的に学内全体にピア・グローウィング・コミュニティを構築することが可能となる。

■ 開催案内

第92回招聘セミナー

講演題目
学生リーダーを育てる
〜愛媛大学リーダーズスクールの取り組みと成果〜
講演者
秦 敬治 氏
(愛媛大学 教育・学生支援機構教育企画室 副室長)
日時
2010年11月16日(火)18:30〜20:00
場所
東山キャンパス 文系総合館7階オープンホール

講演概要

 アメリカでの専門教育に特化しない学生リーダーシップ養成は、日本ではまだまだ未発達の領域です。しかし、大学教育においてリベラルアーツや社会人基礎力が求められる今日、大学時代にジェネリックスキルとしてリーダーシップを身につけることは重要であると認識されつつあります。また、学生支援においてもピアエデュケーションによる新たな取り組みが期待されています。今回は、愛媛大学で行われている全学部生を対象としたリーダー養成プログラム事例をもとに、皆さんと学生リーダー養成プログラムや大学教育改善について議論が深められることを期待しています。

お問合せ先
伊藤 奈賀子
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-5814
ご参加いただける方は、事前に上記メールアドレスまでご一報いただけると助かります。会場準備の都合によるものですので、必須ではありません。
案内用ポスターPDFPDF

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