名古屋大学 高等教育研究センター

第93回招聘セミナー 大学を担う学習者のコミュニティを求めて ―大学職員の実践事例から― 水谷 早人 氏 大学行政管理学会副会長・日本福祉大学学生支援部長 2010年11月30日(火)18:30〜20:00 東山キャンパス 文系総合館7階カンファレンスホール

■ 講演要旨

「教職協働」論では、その成功要因・実現手段と要件に関わる諸指標、実践コミュニティ等の協働モデル提示などを踏まえ、学生を見据えた大学人の人材開発が課題となっている。大学行政管理学会教育マネジメント研究会は、学生の主体的な学びを促進する実践と理論を行き来する研究を進めるなか、カリキュラム・マネジメント、学生支援マネジメント、FD/SDマネジメントという3つのテーマを掲げている。本報告では、学生支援をはじめ、生涯学習、学部マネジメント、サービスラーニング等に関わった大学職員の実践事例をもとに、教育マネジメント研究テーマにそって、それらのビジョン開発を試みた。

学生支援では、急変貌をとげつつある学生像を明らかにし、教職協働による初年次ゼミナール実践を通してみたマネジメント課題が浮上する。戦略目標として、?「学生支援の3階層モデル」にいう「制度化された学生支援」へのコミットを拡充し、「専門的学生支援」へのコーディネーションをより組織的に遂行する、?初年次(体験)教育におけるチーム・ティーチングを組織し、「正課」と「課外」を接合する教育プログラムの改善・改革を提起し実施する、?学生コミュニティをより開かれたものとして発展させることができるよう、大学を新しい学習組織にすることにある。

カリキュラム・マネジメントにおける職員の役割として、学士課程カリキュラムを社会連携型に変革するビジョンを持ちつつ、?教育目標形成のため多様な資源を組織する担い手、?目標実現・戦略推進における教員リーダーとのパートナーシップ、を指摘することができる。これまでの教員のみに閉ざされていたカリキュラム経営主体を、職員の実践力でより開かれた組織に変革することが求められている。

FD/SDマネジメントでは、事務管理職や上級アドミニストレーターへの昇進のみとする大学職員のキャリアモデルを見直す必要がある。職場に存在する「高齢者問題」は「若年者問題」につながり、将来的に活用できる高齢者を前提とした人事・能力開発システムの構築が必要である。大学職場を「学習する組織」に変革するために、?「自校教育」を学生・教職員・OBとともに考える授業を開発する、?学生アシスタント養成をインターンシップまたはサービスラーニングとしてプログラム化する、?学生ピアコミュニティを育て、地域と学生・教職員によるトライアングルな学習コミュニティの形成を提案する。これらの営みを通じて、クリエイティブなコミュニティの中心もしくは拠点としての大学づくりに取り組むことが、いま大学人に求められている。

■ 開催案内

第93回招聘セミナー

講演題目
大学を担う学習者のコミュニティを求めて
―大学職員の実践事例から―
講演者
水谷 早人 氏
(大学行政管理学会副会長・日本福祉大学学生支援部長)
日時
2010年11月30日(火)18:30〜20:00
場所
東山キャンパス 文系総合館7階カンファレンスホール

講演概要

教職協働など、大学人としてのリテラシーやコミュニティのあり方が問われている。その内容は、大学が豊かな多様性を内包するほどに一層広がりを見せている。学生が社会への移行を果たす支援のため、多様な学びが展開されようとしており、大学職員の実践はそのためのコミュニティを形成する営みとなる。その全体像に迫る試みとして、教育・学生支援のささやかな実践事例を通し、大学職員の役割などについてともに考える機会としたい。

お問合せ先
西原 志保
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-5696
ご参加いただける方は、事前に上記メールアドレスまでご一報いただけると助かります。会場準備の都合によるものですので、必須ではありません。
案内用ポスターPDFPDF

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