名古屋大学 高等教育研究センター

第121回招聘セミナー 学生の学びに寄与するポートフォリオとは 栗田 佳代子 氏 東京大学 大学総合教育研究センター・准教授 2013年11月29日(金)16:00〜18:00 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館7Fオープンホール

■ 講演要旨

学生向けポートフォリオ,いわゆるラーニング・ポートフォリオは,現在彼らの学びを促進する方法として注目され各機関において導入が進んでいるが,実際には効果的な形で運用できているとは言い難い.この状況分析から,学生の学びに寄与するための要因として,1)教職員および学生に作成の目的意識を浸透させること,2)システム導入に目が向きがちであるが,むしろサポート体制をはじめとするソフト面が重要であり,手間をかける覚悟が必要であること,3)手間を手間としてみることなく,学びに変える設計を行うこと,4)学生側にもある程度の能力が必要であること,などが挙げられる.

これらの要因を満たすポートフォリオのあり方として,本セミナーでは,大学院生版アカデミック・ポートフォリオ(以下,GSAP)について紹介を行った.GSAPは現在計画段階にあるが,この開発にあたっては既に少しずつ普及しつつある教員のためのティーチング・ポートフォリオおよびアカデミック・ポートフォリオの構成および作成体制を参考としている.

GSAP作成の対象は,大学教員を目指す大学院生,具体的には,東京大学においてフューチャーファカルティプログラム(以下,東大FFP)を修了した大学院生である.東大FFPは2013年度よりスタートしたプログラムであり,プレワークショップ,大学院共通科目「大学教育開発論」,ポストワークショップの三部で構成され,教育に特化した実践的な内容を学ぶ.本プログラムは半期で修了するが,受講生は修了後も「教育に関する学習」への高いモチベーションを維持するため,本GSAPは東大FFPの修了生を対象とした発展プログラムとしての位置づけを想定している.GSAPには大きくわけて教育および研究,課外活動(オプション項目),これらの統合,および目標の5項目から構成され,これらに対する内省的かつ俯瞰的記述に根拠資料を添付した書類である.GSAP作成の目的は,キャリアパスを考えるための機会提供をはじめとして公募に向けた準備,ネットワーキングなどにある.将来を考える時期にあり,かつ研究活動に関わる狭い人間関係に閉じがちな大学院生にとっては有用なツールとしての可能性がある.今後試行を行い,課題解決しながら来年度には正式なプログラムとして提案を行いたい.

■ 開催案内

第121回招聘セミナー

講演題目
学生の学びに寄与するポートフォリオとは
講演者
栗田 佳代子 氏
(東京大学 大学総合教育研究センター・准教授)
日時
2013年11月29日(金)16:00〜18:00
場所
名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館7Fオープンホール

講演概要

現在、学生の学びの促進を目的として所謂ラーニング・ポートフォリオを導入する大学が増えている。しかし、その多くはポートフォリオの本来の意味である「情報を一カ所に集める」ことには成功しているが、肝心の学びの促進に結びついていないのが現状といえよう。学生の学びに寄与するポートフォリオのあり方について、ティーチング・ポートフォリオの導入支援の経験および東京大学における大学院生向けプログラムへのポートフォリオ導入の模索という観点から話題提供を行いたい。

お問合せ先
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-5696
ご参加いただける方は、事前に上記メールアドレスまでご一報いただけると助かります。会場準備の都合によるものですので、必須ではありません。
案内用ポスターPDFPDF

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