名古屋大学 高等教育研究センター

第146回招聘セミナー
第5回「アドミッション担当教職員支援セミナー」
韓国の入試専門官の職務内容と養成システム 山本 以和子 氏 京都工芸繊維大学アドミッションセンター・准教授 2018年1月19日(金)16:00~18:00 名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ

■ 開催案内

第146回招聘セミナー
第5回「アドミッション担当教職員支援セミナー」

講演題目
韓国の入試専門官の職務内容と養成システム
講演者
山本 以和子 氏
(京都工芸繊維大学アドミッションセンター・准教授)
日時
2018年1月19日(金)16:00~18:00
場所
名古屋大学 東山キャンパス 文系総合館5階 アクティブラーニングスタジオ

講演概要

このたびの大学入試改革方向性では、多面的・総合的評価入試の拡大が見込まれるが、その入試判定の質・量の対応策は講じられているとは言い難い。一方、韓国では、教科学力による画一的な点数主義的評価から脱却するために入学査定官による多面的・総合的評価入試を導入している。今回は、その入学査定官の専門性に着目し、その組織や役割、専門性向上システムとその内容について紹介する。


■ 講演要旨

韓国では、近代化後の大学入学試験政策は、政権の入れ替えとともに変化をしているという背景を持っていて、大学入学試験は我が国と同様に政治社会的な重要テーマである。また、大学入学の競争が熾烈なほど学歴主義と学力主義も一緒に堅固化しており、これにより入試が主となった画一的な高校教育、個人負担教育費増加、学校教育機能低下の問題などの諸般の問題が発生していた。李明博政府は個人負担教育費軽減と公教育正常化などを目的に‘入学査定官制’という入学査定官が選考を行う「入学査定官制入試」を2009年度入試より本格的に実施した。その結果、近年の入学査定官による入試の募集人員割合は増加傾向にあり、2017年度は全体の約30%を選抜している。

高大接続、高大連携教育を展望した大きな入試改革であったが、それを支えてきたのが「入学査定官」といわれるアドミッションスペシャリストの存在であった。彼らの業務内容は大学ごとに若干の差異があるものの入試制度や入試選考、および合否査定業務を行う選考研究部門、中等教育および高大連携教育研究や高校情報データベースと高大連携プログラム実施を担う高大連携部門、さらに選考結果や学生追跡研究と入学前教育および査定官教育プログラムを実施する教育研究部門に大別される。これらは専門的な知識・スキルが要求される分野で「入学査定官」になるには、当初120時間もの養成研修を受ける必要があった(現在、受講時間数は減少)。また採用も地位も一定の要件が敷かれている。養成・訓練の研修項目は、大学入試に関する中央機関から発信されており、基本素養(入学査定官概説・学生理解と高校教育課程等)、専門スキル(大学入試政策と制度・評価能力・資料整理・意思疎通能力等)、実務能力(評価指標開発・相談広報技法等)がある。実務経験により、また専任か委託の違いで受講する講座と時間数が異なるといったことが定められている。

この入学査定官の合否査定により、高校は授業改善、キャリア教育の活性化や教育課程の多様化が推進され、大学は大学教育特性に応じた適確者の選抜や学生構成の多様化、選抜専門性の向上が成果となった。一方、この入試政策の一貫性・持続性は無論こと、高校現場や一般社会からの大学入試対策型教育依存による批判という課題のほかに専任の入学査定官が少なく、安定的地位の確保が課題になっている。

申し込み方法
  本セミナーへのご参加を希望される方はセミナー参加申込フォームから必要事項をご入力下さい。その際にご入力頂いたメールアドレスへの返信をもちまして、申込完了となります。
お問合せ先
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-5696
本セミナーに関する質問事項等があれば、上記のお問い合わせ先まで連絡をお願いいたします。
諸連絡
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