名古屋大学 高等教育研究センター

名古屋大学高等教育研究センター 第195回招聘セミナー
第17回「アドミッション担当教職員支援セミナー」
共催:東海国立大学機構アカデミック・セントラル
高大接続の実相と課題 山村 滋 氏 大学入試センター 名誉教授 2021年7月15日(木) 15:00-17:00

■ 開催案内

名古屋大学高等教育研究センター 第195回招聘セミナー
第17回「アドミッション担当教職員支援セミナー」
共催:東海国立大学機構アカデミック・セントラル

講演題目
高大接続の実相と課題
講演者
山村 滋 氏
(大学入試センター 名誉教授)
日時
2021年7月15日(木)15:00-17:00

講演概要

周知のように高大接続改革は迷走した。本報告では、地に足の着いた議論に資することを目的として、報告者がこれまで実施してきた調査のデータを用い、高大接続の実相とそこから導かれる課題を提示したい。その際、改革論議では、いわゆる学力中間層の学習離れが問題になったことに鑑み、学力中間層にほぼ重なる進学中堅校生徒を主に対象とし、「大学進学率の上昇により顕在化した学生の学力不足」という高大接続を見る観点から分析する。


本セミナーは ZOOM によるオンラインで開催します。オンライン参加が可能であることをご確認の上でお申し込みください。


オンライン参加の要件等
・カメラ・マイクが利用可能で、高速なインターネットに接続されたPC等が用意できること。
・発言等ができる静穏な環境で参加できること。

■ 講演要旨

周知のように高大接続改革は迷走の末、2枚看板であった大学入学共通テストにおける記述式問題の導入および英語民間試験の活用は、断念されることになった。そもそも今般の高大接続改革においては、改革論議において、高大接続・大学入試を巡る実態把握が甚だ不十分であった。本報告では、地に足の着いた議論に資することを目的として、報告者がこれまで実施してきたいくつかの調査のデータを用い、高大接続の実相とそこから導かれる課題を提示する。その際、改革論議では、いわゆる学力中間層の学習離れが問題になったことに鑑み、学力中間層にほぼ重なる進学中堅校生徒を主に分析の対象とする。

今日、「高大接続を見る観点」として次の2点が挙げられる。①高校教育と大学教育は教育課程として異質である。②大学進学率の上昇により顕在化した学生の学力不足。本報告では、②の観点を中心に論じる。

さて、学生の学力不足(低学力問題)に関しては、天野郁夫が以下の4点に整理している。a. 学力の内容問題:大学での専門教育に必要な知識を十分に持っていないという問題。b. 学力の水準問題:ある科目を履修してきたはずなのに大学の期待する水準に達していないという問題。c. 学習力その1:学習のためのスキルが身に付いていないという問題。d. 学習力その2:学習意欲の問題。

この整理に基づき、分析の視点として、5点を設定した。視点1:大学入試の多様化政策のもとでの受験科目の問題。視点2-1:高校生の学習時間。視点2-2:定期考査を巡る学習行動の構造。視点3:学習スキル。視点4:高校生の学習意欲。

以下、まず、入試の多様化の実態を明らかにした後、分析結果の要点を示す。

高校別の大学進学率と進学者の入試方法との関係は、高校の進学率が下がるほど、一般入試による進学者は減少し、推薦入試・AO入試による入学者の比率が増加する。進学率40%以下の高校では、9割弱が一般入試以外の選抜方法で大学に入学している。進学率の低い高校の生徒ほど推薦やAOを利用しているのである。

視点1(大学入試の多様化政策のもとでの受験科目の問題)に関しては、進学校生徒は9割以上の生徒が5教科を受験する予定で学んでいる。これに対し、進学中堅校生徒は、推薦やAOで受験する生徒も多いため、5教科を受験予定科目とする生徒は5割以下にまで減少する。このような入試の多様化による受験科目の少数化が天野の指摘する学力の内容問題の要因のひとつである。

視点2-1(高校生の学習時間)については、高校1年次の学習時間が高校後半期の学習時間の伸びを左右する。しかし、進学中堅校生徒は1年次の学習時間が少ないことが指摘できる。したがって、高校1年次にいかに学習習慣をつけさせるかが課題となる。

視点2-2(定期考査を巡る学習行動の構造)による分析結果次のとおり。進学中堅校では期末考査の難易度が進学校と比べて低い。また、ふだんの学習時間の学校の成績への影響力が確認出来ない。このような構造があるため、日々、学校に通い、時間を費やしている勉強が、進学中堅校生徒にとっては、学力を形成するものとして十分機能していない。

視点3(学習スキル)に関しては、表現力・分析力・構造化力が、大学で必要だが高校までにあまり身についていない。したがって、このような力を高校段階で培うこと、そしてそれを評価できるような高大接続の仕組みが求められる。

視点4(高校生の学習意欲)については、勉強に意欲的な友人の存在、学習の「場」、および、通塾日数がプラスと要因となった。一方、「身の丈大学志向」は学習意欲を減退させる方向に作用する。友人との学習の協働性を高めること、自己効力感を高めるような教育実践が求められるのである。

申し込み方法
下記セミナー参加申込フォームから必要事項をご入力下さい。その際にご入力頂いたメールアドレスへの返信をもちまして、申込完了となります。
https://forms.gle/3QTn7z3274K8UH7t9
定員
90名(申込締切 7月12日)
参加方法
後日参加申込された方にお知らせします。
お問合せ先
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-3534
(セミナー専用)
本セミナーに関する質問事項等があれば、上記のお問い合わせ先まで連絡をお願いいたします。
諸連絡
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