名古屋大学 高等教育研究センター

名古屋大学高等教育研究センター 第199回招聘セミナー
研究推進・支援担当者セミナー
研究力を測ることにどう向き合うか 矢吹 命大 氏 横浜国立大学大学戦略情報分析室 准教授/研究推進機構 リサーチ・アドミニストレーター 2021年10月7日(木) 15:00-17:00

■ 開催案内

名古屋大学高等教育研究センター 第199回招聘セミナー
研究推進・支援担当者セミナー

講演題目
研究力を測ることにどう向き合うか
講演者
矢吹 命大 氏
(横浜国立大学大学戦略情報分析室 准教授/研究推進機構 リサーチ・アドミニストレーター)
日時
2021年10月7日(木) 15:00-17:00
共催
東海国立大学機構アカデミック・セントラル

講演概要

URA 業務の一つに位置づけられる「研究力の調査分析」は、URA 活動はもとより、今日求められるエビデンスに基づく大学経営を支えるものとしてもますます重要なものとなっている。しかし、研究力の分析・評価の中心となる定量的指標を巡っては、研究活動が複雑な営みであるために容易に定量化できないという問題が生じるのも確かである。本セミナーでは、研究力の調査分析業務の経験をもとに話題を提供し、URA として研究力を測ることにいかに向き合うべきかを参加者と共に考えたい。


本セミナーは Zoom によるオンライン開催です。
・マイクが利用可能で、高速なインターネットに接続されたPC等が用意できること
・発言等ができる静穏な環境で参加できること
以上をご確認のうえ、お一人様1アカウントにてお申し込みください。

■ 講演要旨

「研究力の調査分析」は、URA活動はもとより、エビデンスに基づく大学経営を支えるものとしても重要なものとされている。そこでは、特に研究力を定量的に把握分析することが中心に行われているが、本来複雑な営みである研究活動を定量的に把握することには困難であって、一般的に語られる研究力を示す指標は、研究活動の実際を十分に反映していない嫌いがある。本セミナーでは以上の問題意識に基づいて、研究力分析における定量的指標の限界との向き合い方を論じた。

セミナー前半では、研究力分析の実際を共有する意図から、研究力分析の事例や、分析結果を用いてOA支援事業の実施した講演者の事例を紹介しつつ、URAとして研究力分析を実際のアクションにつなげうるのか、その難しさについて論じた。

セミナー後半では、「研究力」の概念がどう捉えられているかを検討し、学術論文や研究資金の獲得状況に結びつけて議論されることを確認した。その上で特に学術論文については、そのデータソースとなる学術文献データベースの収録内容の網羅性には限界があり、研究活動を把握するには限界があることを論じた。また、研究成果の表出方法は学術論文に限定されないにもかかわらず、学術論文を対象に研究力を論じることの限界についても論じた。

加えて、研究力に関する定量指標による評価によって、予算配分に連動させることの問題点についても議論した。例えば学術論文の量的増大がインセンティブとなるような評価指標は、論文の質を下げてでも量を増やすような行動を促しうることを先行事例から示し、十分な設計がなされていない指標は、意図せぬ帰結を生む可能性を論じた。

最後に、研究力を定量的に把握することには一定の限界があることを自覚し、「研究計量に関するライデン声明」に示されるように、量的指標はあくまでも定性的評価の支援に用いられるべきであることを念頭に研究力を測ることに向き合うことの重要性を論じた。

主な参考文献
・林隆之「第14章 研究評価への科学計量学の応用」藤垣裕子ほか編『研究評価・科学論のための科学計量学入門』丸善、2004年
・調麻佐志「第1章 科学計量学」藤垣裕子編『科学技術社会論の挑戦3 「つなぐ」「こえる」「動く」の方法論』
・ジェリー・Z・ミュラー『測りすぎ』松本裕訳、みすず書房、2019年
・小野寺夏生、伊神正貫(2016)「研究計量に関するライデン声明について」『STI Horizon』2-4, 35-39頁http://doi.org/10.15108/stih.00050

申し込み方法
下記セミナー参加申込フォームから必要事項をご入力下さい。その際にご入力頂いたメールアドレスへの返信をもちまして、申込完了となります。
https://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/seminar/form/
定員
100名(申込締切 10月4日)
参加方法
後日参加申込された方にお知らせします。
お問合せ先
info@cshe.nagoya-u.ac.jp
Tel:052-789-3534
(セミナー専用)
本セミナーに関する質問事項等があれば、上記のお問い合わせ先まで連絡をお願いいたします。
諸連絡
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