名古屋大学 高等教育研究センター

第7回招聘セミナー 「カンボジアの高等教育」 Higher Education in Cambodia ネット・バロム 氏 プノンペン大学 1999年 10月18日(月) 14:00- 名古屋大学高等教育研究センター 会議室


■ 講演要旨

 カンボジアの高等教育は、フランス、旧ソ連、ベトナムの強い影響を受けてきた。60年代に徐々に整備された高等教育は、70年の時点では9つの大学と5千人余の学生を擁したが、ポルポト政権時代に徹底的に破壊された。80年代以降、プノンペン王立大学をはじめ9つの国公立大学、および95年には初の私立大学が設立されている。社会主義型の高等教育システムが残存しているので、いくつもの省庁が自前の大学を監督しており、一元的な高等教育政策が取れない原因となっている。大学カリキュラムや成績評価、試験などの制度はほとんど整備されていない。大学の教科書のうち、国語(クメール語)で書かれたものはほとんどない。国公立大学の授業料は無料であるが、現在では有料化が検討されている。大学予算のほとんどは教職員給与であるが、その水準は極めて低い。このような状況下においては、外国や国際機関からの援助が不可欠である。