名古屋大学 高等教育研究センター

第5回客員教授セミナー 「1990年代における中国高等教育の再編成」 Reorganization of Chinese Higher Education in 1990's 陳 学飛 氏 北京大学高等教育研究所副所長/センター客員教授 1999年 12月2日(木) 14:00-15:30 名古屋大学高等教育研究センター 会議室


■ 講演要旨

 1993年2月の「教育発展と改革に関する要綱」によって、中国の高等教育機関は独立法人格を与えられた。次いで、95年3月に中国初の教育法、98年8月に高等教育法が公布され、学生の分野別配分、教育、研究、社会サービス、国際交流、人事、財政において高等教育機関に一定の自治権が法的に認められるようになった。
 財政面では、93年から98年まで実施された「211工程」において、61校に130億元の予算が大学に投入された。99年から2001年まで実施される「世界一流大学運営」プロジェクトでは、有力9大学に180億元の資金援助が行われ、研究経費、教育経費、教員手当に配分される予定である。管理形態については、教育部以外の中央省庁が管理していた高等教育機関が、行政改革に伴い地方政府に移管される傾向にある。また、共建(共同建設)、合作、合併、画転(移管)、協作(協同)などの方法により、高等教育機関の再編が自発的に進められている。
 公立以外の高等教育機関については、93年8月に「民営大学設置暫行規定」、97年7月に「社会諸勢力による学校設置に関する条例」などにより、公的に認められるに至った。その形態には、公人による運営、民主的党派による運営、社会団体による運営、企業による運営、海外華僑の投資による運営、国有民営、民営公助、国際的な協力による運営、の8種類がある。民営大学の設置認可は地方政府が、学位授与認定は教育部が行っている。総じて中国の高等教育は、ますます多様化、大衆化されつつある。