名古屋大学 高等教育研究センター

第22回客員教授セミナー 高等教育の国際化 成果指標と実績評価の観点から マイケル ペイジ 氏 米国ミネソタ大学教授/名古屋大学高等教育研究センター客員教授 2003年12月11日(金) 午前1時30分 名古屋大学東山キャンパス 文系総合館7階 オープンホール

■ 講演要旨

 本発表では、大学の戦略計画のなかでもとくに「高等教育の国際化」という個別テーマに焦点をあてながら、それらテーマに対応する目標・計画を達成するにあたって有効な成果指標(Performance Indicators)および実績評価(Performance Assessment)のモデルを提示したい。高等教育の国際化は、学生が地球規模の環境において活躍するためにどのような準備を行ったらよいかを考えることに通じる。とらえかえせば、大学がさまざまな次元において国際的な視野を取り入れていく過程であるといえる。

 高等教育における実績評価とは、「情報の定義、選別、設計、収集、分析、解釈、活用」からなる方法である。このように、大学の基本目標・行動目標という文脈の中でこそ十分に理解される評価のプロセスを通じて、大学は目標を達成するためにどのような進歩が求められるのかを判断できるようになる。

 成果指標は、「成果を測定する統計データや質的記述」や「進捗の度合いを測るために収集されるデータ」等と定義されるが、実績評価と同様に、期待された結果を得るための戦略計画・基本目標・行動目標・行動計画の文脈のなかではじめて意味をなすツールである。

 高等教育の国際化をめぐる10の重要な成果カテゴリーは、1.国際化へのリーダーシップ、2.国際化の戦略計画、3.国際教育の組織化、4.組織的基盤、 5.カリキュラムの国際化、6.国際的な学生および研究者、7.留学、8.教員参加、9.学生生活、10.学生の学習活動、である。

 たとえば、高等教育の国際化の「鍵」ともいうべき「カリキュラムの国際化」という基本目標に対しては、「『国際』科目の開講数増加」という行動目標が立てられ、そのための行動計画が設定される。具体的な計画のサンプルとしては、「『国際』科目のための助成金を獲得すること」や、「科目の国際化のためのハンドブックを開発し普及させる」等が相当する。

 こうした行動計画には、具体的な期限や数値目標が据えられ、説明責任体制(Accountability Structure)の下でモニターされる。使用される成果指標の例としては、「『国際』コースの開講数」等が挙げられる。科目情報等の基礎データ、教員調査等のデータ源、学科・学部・全学等のデータのまとまりの水準、内部ベンチマーキング等が成果指標を設定するうえでの基本的な要素となる。

 これらの成果指標にもとづき、毎年実施される実績評価では、自己評価報告書の作成、結果の検証、再評価報告書の作成、大学執行部への提出および承認、というプロセスがとられる。