名古屋大学 高等教育研究センター

第34回招聘セミナー 外国語教育における教授法と授業設計 ベトナム語―教授頻度の低い言語―教育から見て 田原 洋樹 氏 立命館アジア太平洋大学常勤講師 2004年 2月26日(木) 午後2時 名古屋大学東山キャンパス 文系総合館7階 オープンホール

■ 講演要旨

 本セミナーでは、教授頻度の低い外国語を教える際のティップスが、報告者である田原氏のこれまでの教育実践から得られた経験に基づいた論じられた。

 田原氏の授業の特色は、

  1. シラバスにおいて必ず到達点が示されていること
  2. 出欠確認、評価などについての「お約束」が設定されていること。
  3. (受講人数が少ないために可能なこととはいえるが)私語厳禁とするのではなく、語学スキル向上のために活発な発言を求めており、むしろ沈黙はよくないこととされている。
  4. 最履修生に対しての配慮がなされている。

 また、評価につても工夫がこなされていて、同氏は、「評価は師弟双方で」というモットーの基に、評価基準を明示し、さらには中間面接を実施している。

 これらは語学は「技能科目」であるという位置づけから、到達目標を具体的な行動目標で表現し、評価においては妥協しない厳格な面と、その到達プロセスを学生に楽しんでもらうための仕掛けや配慮に努力する面という田原氏の授業観を反映している。

 このような教育実践のあり方は、少人数クラスであるからこと実践可能ともいえるかもしれない。けれども、日本の大学において必ずといっていいほど取りあげられる「大学における外国語教育をどうするのか」議論にたいして、示唆的な教育実践であるといえよう。

 ディスカッションでは、ベトナム語という教授頻度の低い言語であるため、1、2年次で学んだことが3年時以降に生かすことができないというカリキュラム設計の問題点について触れられた。大学教育における語学教育をカリキュラムの中でどのように位置づけるかという議論を早急に進めていく必要性が示唆されたといえよう。