名古屋大学 高等教育研究センター

第12回客員教授セミナー 高等教育における企業とのパートナーシップ 山田 達雄 氏 中村学園大学 教授/センータ客員教授 2002年 2月26日(火) 13:00-17:00 名古屋大学東山キャンパス センター会議室

■ 講演要旨

 世界14カ国を3年間にわたって専門家20名の研究メンバーで訪問調査してきた結 果を取りまとめ中の山田達雄中村学園大学教授(NCSHE客員教授)は、わが国の 高等教育は、メガコンペティションの行われる時代に柔軟に対応する形で研究と 教育を行うことができるかどうかが鍵である、と招聘講演を行った。そのうち最 も大きな課題は、ソウル大学が20余年前から実施しているAMP(Advanced Management Program)のような高級人材の育成を大学が行うことを真剣に考え、 早急にたちあげることであると述べた。 そのほか、対外的な競争で他の国々と比較して負けていると思われる教育・研究 のあり方に関連し、(1)教育・研究の視点(テーマ設定やカリキュラム構造の設定) を社会システムや産業の抱えている課題に関連して再構築する必要、(2)教育研究 に実社会で稼動している中枢人材を組み入れる仕組みをつくる必要、(3)産と学を 結びつける仲介機関(産と学にそれぞれリエゾンパーソン等の連絡調整を専門に する専任ポストの設置も含む)を設ける必要があることを指摘された。そして、 もし大学がそうすることを怠ると、本来大学がもっていたところの社会の抱える 問題へ知的ソルーションを提供するという責任を、大学以外の機関が奪い、解決 する手段を講じる傾向が出てくる。例えば、都道府県が大学院を超える研究機関 (インキュベータやLCIカレッジ)をつくったり、アメリカのように企業が企業 型大学(Corporate University、もうすでに3000機関あるといわれる)を設立し たりすることになる。知的基盤社会に対応する教育プログラムは、英国や韓国の 改革にならって大学や学校在学中の教育ばかりでなく、就職後の人材育成や職能 開発に関しても統合的に支援できるように文部科学省と経済産業省の人材開発部 等は統合すべきであり、国際化に対応するためには、シンガポールにならって大 学以前の学校教育から国際的に開かれた人材育成を目指し、バイリンガル教育を 徹底して行い、進学先を全世界の大学を目指すように意識変革をしなければ、21 世紀に生きる人間を育成することはできないであろうと結論した。 。