講演要旨
九州大学の新入生の一部について、進路選択決定の際の指標として何を用いたか
で分類し、授業レポートの記述に関する調査を行った。指標については、「受
験学力や偏差値による進路選択をした学生(A群)」と「興味・関心による進路
選択をした学生(B群)」とに分類した。
その結果、A群については、大学の講義に対してネガティブな認識をもっている
のに対し、B群はポジティブな認識をしている傾向があることが分かった。
また、「何かいいことがあるのではないか」(報酬的興味)「能力を試
してみようか」(評価的興味)といったものに過敏になっている傾向があり、
「なぜ」から「何」「いかにして」といった、関心に根ざした問いかけが不得手
な学生が多くなっている。
筋道をたどった判断や二者択一的判断は受験でトレーニングされているようであ
るが、観察による事実収集の能力や留めおくことによる洞察をする能力について
不足している学生が多い。この点を共通教育でトレーニングすることが、生徒か
ら学生への移行プロセスを考える上で重要な点と言えよう。