本号の構成

1. 授業から学ぶ

2. 本から学ぶ
3. 人から学ぶ


・人と出会うことの意味を
 知ろう

・教員との距離を縮めよう
・仲間とともに学ぶ大切さを
 知ろう
・チェックリスト

4. 学習習慣をつける
コラム
ティップスのリスト



 

3.1 人と出会うことの意味を知ろう

 大学で学ぶ上で人との出会いは重要な意味を持ちます。他者から学習上の 刺激を受けることによって、自分の考えを発展させることができます。また、 あなたが他者に影響を及ぼすこともあるでしょう。他者とは、教員かもしれ ませんし、あるいはTAやクラスの友人、ゼミの仲間、先輩あるいは後輩か もしれません。名古屋大学にはさまざまな学部・研究科があり、多様な価値 観が存在します。みなさんが大学で学習を始める上で、これらの財産を活用 しないのは惜しいと思いませんか。

ティップス31:きっかけをつくろう


 まずは、朝友人と会ったら「おはよう」と声をかけてみましょう。日常の さりげないあいさつが知的世界への扉を開いてくれることでしょう。歳の離 れた人には話しかけにくいかもしれませんが、まずは身近な教員や仲間にあ いさつするところから始めてみませんか。


ティップス32:仲間と議論をしよう

 議論をすることによって、相手と自分の意見の違いを確認することができ ます。さらに、相手の意見のよいところを取り入れることによって、自分の 考えを深めることができます。議論するときに大事なことは、@まずは相手 の話をよく聞くこと、A自分の言いたいことを的確に伝えること、B双方の 意見をすり合わせて、より優れた考えを生み出すことです。議論とは口論を することではありません。お互いの意見を受け容れ、より優れた考えを生み 出すことなのです。


コラム 話せばわかる 「話せばわかる」


ティップス33:「人と話が合わない」経験をすることも大事だ

 大学の授業とくに全学教育の授業は、専門分野、学習志向性、価値観など が自分と異なる人と交わる絶好の機会です。授業中にはグループ作業やディ スカッション、本格的な調査や実験、発表など、高校まで体験したことのな いさまざまな活動が行われます。注意すべきは、こうした活動の多くが単独 ではなく、グループあるいはチーム単位で行われるという点です。

 人間関係においては誰しも、自分と似た属性の人と交わる方が心理的抵抗 は少ないでしょう。しかし、考えの異なる人や、話の合わない人とも一緒に 物事に取り組む経験をすることが大事です。相手と自分の思考方法や感覚の 違いを実感することにより、自分の視野を広げたり、考えをより一段と深め たりできます。他者に対する寛容さは、自分と異質な人と交わることによっ て培われるのです。社会はあなたにとって「ウマの合う」人ばかりではあり ません。その人たちとどうやって共存していくかを学ぶことが大事なのです。


ティップス34:人と出会うチャンスを積極的に活用しよう

 名古屋大学では、新入生のあなたがさまざまな人と出会うチャンスを提供 しています。学生相談総合センターには「名大ピア・サポーター」という制 度があり、上級生が新入生の学習・生活上の相談にのっています。就職活動 に関しても、就職先の決まった上級生が「就活サポーター」として登録され、 下級生のサポートを行っています。留学生センターでは、名大に在籍する留 学生と日本人学生が1 対1 で交流する機会として「学生パートナーシッププ ログラム」を提供しています。最初は恥ずかしいかもしれませんが、提供さ れている各種プログラムをぜひ積極的に利用してみましょう。

 このほか、名古屋大学は全国有数の研究重点大学ですので、年中数え切れないくらいの催し物が行われています。興味を持った教員や研究室の廊下には、さまざまな研究会やセミナー、シンポジウムのポスターやチラシが貼ってあることでしょう。新入生だからといって遠慮は要りません。関心をもったら、教員や院生に尋ねてみましょう。教員にとっても、自分の研究分野に学生が関心をもってくれることはウェルカムなのです。


【先輩からのアドバイス】


・部活やサークル、バイト、ゼミなど何でもいいので、人と関わることのできる世界に入っていくことが必要。人と意見を交換するだけでなく、他人の行動を見て学ぶことはたくさんある。そして、人とのつながりが将来にも役に立つ。(文)

・社会人になった時、一番大事なのは「仕事ができること」よりも「人とうまくやれること」なのではないだろうか。そのため、さまざまな人との出会いにあふれている大学生のうちに、さまざまな人と出会い、コミュニケーションすることは意味があると思う。(農)

・人間の食わず嫌いをしないこと。仲良くなってみたらいい人だったということはよくあると思う。しかも、そういう人は自分と違った考え方をしていることが多いと思う。(法)

・仲間を作り、話をすること。社会科学はもちろん自然科学においてもそうであろうが、人の意見は一つではあり得ず、人によって多様である。独力では自分の意見に固執してしまうばかりで広がりを持ち得ない。友人はもちろん、他学部の人と広く接するべきである。(法)

・すばらしい人間関係を築いて下さい。「すばらしい友人」というのは、何でも自分の思うことを言い合えて、かつ自分とは違う考えを持っている人のことだと思います。そういった人とは意見が割れてぶつかることがあり、自分の意見を言い合うことによって、考え方がより豊かになるから。(工)

・違う学部の学生、特に文系は理系、理系は文系の学生と交わる機会を積極 的に持つとよいと思う。頭の使い方が異なっていて面白いし、新しい発見が ある。(法)


【教員からのアドバイス】

・尊敬できる先輩を見つけること。

・他人から誘われたり、声をかけられたりした時、やろうかどうしよう迷っている時は、「イエス」という方向で考えてみる。新しいことに、少し背伸びしてやってみる。

・友人のすばらしいところを学ぶ。

・立派な人ばかりの中で過ごすのはしんどいことである。怠け者の中ばかりで過ごしていてはラチがあかない。いろいろなグループと気楽に、しかしそれなりに批判的に付き合うのがよい。

・友人と将来のこと(卒業後のこと)を語り合ってみる。中には明確なビジョンをもった人もいて、刺激を受けられるだろう。


コラム 大学院ってどんなところ? 「大学院ってどんなところ?」