本号の構成


1. 授業から学ぶ

・大学の授業に期待しよう
・学習意欲を高めるような
 時間割をつくろう
・まずは授業に出よう
・思考の整理に役立つノートを
 とろう
・授業時間外の学習を大事に
 
しよう
・自分の理解度をチェック
 しよう
・チェックリスト

2. 本から学ぶ
3. 人から学ぶ
4. 学習習慣をつける
コラム
ティップスのリスト



 

1.2 学習意欲を高めるような時間割をつくろう

 みなさんは、どんな理由でこの大学・学部を選びましたか。大学で何をやりたいと考えたのでしょうか。進路を決めた時のことを思い出してみてください。みなさんの中には、偏差値のレベルや専門分野に対する一般的なイメージで選択した人が少なくないと思います。しかし、せっかく入学したのだから、大学・学部がどんな人材を養成しようとしているかを知っておいても損はないでしょう。

 高校までは時間割は与えられるものでしたが、大学ではあなた自身が時間割をつくる点が大きく異なります。もちろん必修の授業もありますが、かなり多くの授業を自分の意思で選択することができます。大事なことは、自分自身の学習意欲を高めるような時間割をつくることです。ここではその基本的な方法について紹介します。


ティップス3:進学する学部の教育目標とカリキュラムについて知ろう

 みなさんが進学する予定の学部には、それぞれ教育目標が定められています。そして、その教育目標を達成するための教育内容としてカリキュラムが設計されています。まずは、学部ごとに配布されている『学生便覧』あるいは各学部のホームページを開き、あなたが進学する学部では、どんな科目が提供されているのかをみてみましょう。
自分の学部がどんな教育目標を掲げ、それを達成するためのカリキュラムがどのような仕組みになっているのか、知っておくとよいでしょう。どこの学部でも、最初は基礎科目や教養科目からなる全学教育科目が大部分を占めています。次第に学部の専門授業が増え、4 年次には多くの学部で卒論・卒業研究が課されます。


ティップス4:全学教育科目を学ぶことには大きな意味がある

 名古屋大学に入学したばかりのあなたが最初に授業を受ける場所は、主として全学教育棟というところです。全学教育科目が学部の専門科目と異なるのは次の点です。

・さまざまな学部の学生と机を並べて学ぶ機会に恵まれている

・進学予定の学部だけでは学ぶことができない幅広い教養・基礎知識を学ぶことができる

  たとえば、全学教育には新入生用の「基礎セミナー」という授業があります。大学生に必要な読み、書き、話す能力の基礎トレーニングと学問探究のおもしろさを少人数で学ぶ授業で、全学教育でもっとも人気のある授業の一つです(なんと年間約280 も開講されています)。各セミナーは12 名定員で、教員に加えて大学院生のティーチング・アシスタントも配置されています。新入生用のゼミがこれほど少人数制で大規模に実施されているのは、全国の大学でも珍しいのです。多くの基礎セミナーでは他学部の新入生と知り合い、共通のテーマについて調べたり、話し合ったりする機会があります。

コラム 教養の定義いろいろ 「教養の定義いろいろ」



ティップス5:学習意欲を高めるような時間割をつくろう

  それでは実際に、どんな授業を選択したらよいでしょうか。名古屋大学では「全学教育科目シラバス」をオンライン上に公開しています。シラバスとは授業計画のことです。これをみると、授業の目的・ねらい、履修条件、授業内容、成績評価の方法、教科書、参考書、注意事項などについて知ることができます。まずは、授業目的や授業内容を読んで、あなた自身の知的好奇心がかき立てられるような授業があれば、ぜひその授業を受講することをお勧めします。

  また、せっかく全国有数の総合大学に入学したのですから、進学予定の学部とは直接関係のない科目も、1〜2 年生のうちにぜひ積極的に受講してみてください。たとえば、工学部の学生が芸術の授業を履修したり、法学部の学生が建築史について学ぶことが名古屋大学では可能なのです。これはすばらしいことだと思いませんか。あなた自身の学習意欲を高め、人間としての視野を広めるような時間割を組むことが大事なのです。


ティップス6:時間割には「すき間」をつくろう

 授業を履修するときに注意すべきことは、あまりにも多くの授業をとりすぎない、ということです。できれば、空き時間をいくつか作っておきましょう。その時間に予習・復習したり、図書館や生協に行って必要な文献をチェックしたり、教員の研究室を訪ねたり、わからない練習問題について友人に相談したり、キャンパスを散策して気分転換することができるからです。
 むやみに授業を詰め込んでしまうと、学習内容を消化しきれなくなり、あぶはち取らずになりかねません。大学の時間割作成のコツは、すき間を作ることです。


ティップス7:単位を揃えることは手段にすぎない

 大学での授業履修は、単位をコツコツと積み重ねていくことでもあります。しかし、単位をどうやって揃えるかというテクニックだけで授業を履修するのは、本当にもったいない。単位をとることは大学を卒業するために必要なことですが、それ自体が目的ではないからです。本当に大事なことは、授業を通してあなたの知識、技術、態度、価値観、感性を磨くことです。そして学ぶことのおもしろさを体感することなのです。


【先輩からのアドバイス】


・正直言って、大学で勉強する理由とか目標は曖昧な人が多いのではないだろうか。教養だとか、第二外国語だとか、一見自分の専門とは関係ないじゃないかと思える知識をたくさん詰め込まれ、自分の進むべき方向がわからなくなりがちだ。しかし、大学を卒業するためには単位は必要であり、同時に、上の学年に進んで専門の知識をもっと深く学ぶためにも、遠回りの勉強は必要なのだ。単位をとるための勉強に終始する形になってしまうとしても、目の前にある「やるべきこと」を一つ一つ片づけていくことが、まず必要になってくる。その中で、自分の本当にやりたいことが定まってくるかもしれないし、「理解できることの楽しさ」から新しい分野への興味が広がることもあるだろう。(農)

【教員からのアドバイス】


・単位取得のためだけでなく、人生をより豊かにするために、真剣に教養科目をとろう。理系の人であれば文系の教養科目、文系の人であれば理系教養科目をまじめに学んでみたらどうでしょうか。

・履修する科目数を最小限にし、空き時間をできるだけ作り、自習する。

・総合大学なのだから、専門外の授業を取ると楽しい。大学らしい。

コラム 単位って何? 「単位って何?」